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そうだ りんご飴、食べよう。

 りんご。一等好きな果物だ。そのまま食べてもパイにしても美味しい。秋から冬にかけてが旬で毎年必ず食べている。そんなに珍しくもないので簡単に手に入るのも魅力だ。

 だけどりんご飴となると話が違ってくる。
 まずりんご飴の旬は夏だ。お祭りの屋台の定番。棒に刺さった真っ赤な球体が並ぶ屋台は縁日に彩りを与えてくれる。
 そしてお祭りの定番ということは日常的に出回っていないということだ。祭りの日しか食べられないレアキャラなのだ。

 実は自分はりんご飴というものを最近になるまで食べたことがなかった。なぜなら昔はりんご飴の中に本物のりんごが入っているなんて知らなかったから。
 子供の頃に変な思い込みや勘違いの一つや二つをしていることは誰でもあると思うけど、自分の場合はそれだった。「あんな大きな飴の塊いらんだろ」と思っていたわけだ。

 そんなわけで人生初のりんご飴は大人になってから。何年か前に、にるぎりと夏祭りに出掛けた時、りんご飴はりんごに飴をコーティングしたものだよと教えられた。
 りんご好きの自分としたことがなんて勘違いをしていたんだ、どうして誰も教えてくれなかったんだと思った。

 そして初めて買って食べてみたりんご飴の味は、不味かった。

 勘違いしたままでも良かったかなと思った。単純にりんごが美味しくない。もそもそした食感(こういう方が好きという人もいるが)で甘味も酸味もほぼ皆無。見た目の鮮やかさとは裏腹にフルーツ感は色あせきっていた。

 にるぎりからは「屋台のりんご飴は当たり外れがあるからね」と慰められた。もう買わないだろうなと思ってた。


りんご飴の逆襲

 そんな経験も思い出に変わった頃、街中でりんご飴専門店なるものを発見。数日前の話だ。

 なるほど専門店なら当たり外れも無いだろうし、ちゃんと良いりんごを使っているに違いない。何よりこんなニッチな店すぐに消えてしまうだろうという失礼な考えもあって、好奇心でテイクアウトしてみた。

 結論から言うととても美味しかった。ジューシーなりんごと飴の甘さが絶妙なバランスでりんご飴の本当の実力を知った。
 屋台と違って食べる前にちゃんと冷蔵庫で冷やしておいたのも良かったのだろう。

 これはまた食べたいと思って、りんご飴専門店をググったらどうやら二つの会社があるらしい。ニッチ過ぎてすぐ潰れるだろうと思ってたけど、どうやらそれなりのジャンルではあるらしい。

 それなら食べ比べるしかないだろう。対象は二つだから、今までの食べ比べみたいに調子に乗って買い過ぎて苦しくなるということも無いだろう。


本気のりんご飴

 今回は2種食べ比べ。それぞれ一個ずつでりんご飴を堪能する。

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 毎度おなじみの参加者は以下の二名。


にるぎり
 果物ならアメリカンチェリーかキウイフルーツが大好きなジャムの嫁。最近ディズニープラスに入会してディズニー作品を漁っている。好きなプリンセスは美女と野獣のベル。


ジャム
 りんごの次に好きな果物はパイナップルなにるぎりの夫。にるぎりがディズニープラスに入会したのをきっかけに観たことがなかったプリンセスものを一気に履修。好きなプリンセスはリトル・マーメイドのアリエル。


 見せてもらおうか。りんご飴の本気とやらを。それはそうと今回は2種なので同時に食べ進めてレビューしてみた。


代官山Candy apple

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 今回の食べ比べをするきっかけとなりジャムに本当のりんご飴の美味しさを教えてくれたりんご飴。代官山というのがもうオシャレ。ロゴもカワイイ。カフェ併設の店内もHPもお洒落で可愛くてSNS映えしそう。


ポムダムールトーキョー

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 2014年から続く日本初のりんご飴専門店。ニッチですぐに消えるなんて思ってごめんね。日本初だし7年続いてるし、その実力は高いのだろう。
 代官山Candy appleさんはカワイイ系の雰囲気だけど、こちらは本当に隠れ家的な店でHPもオシャレなロックバンドみたいな雰囲気。

見た目

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 代官山Candy appleさんのりんご飴。鮮やかな赤色が眩しい。表面の気泡は果汁たっぷりの証らしい。


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 ポムダムールトーキョーさんのりんご飴。こちらも鮮やかで、やや滑らかな表面。


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 代官山Candy appleさんのりんご飴の断面。切っても飴のコーティグが剥がれるようなことはない。


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 ポムダムールトーキョーさんのりんご飴の断面。中心部には蜜が入っている。こちらも飴がしっかりコーティングされている。


実食

にるぎり
 「どちらのりんごもジューシーでシャキシャキした日本人が好きなタイプの食感。ふじとかそのへんの感じする。ほんのりと酸味。ポムダムールのほうが味濃いめ。自分はジョナゴールドとかの酸っぱくてモサモサしたりんごの方が好きだけど、周りの飴との相性はたしかにこういうシャキシャキしたりんごの方がいいかもしれない」

 「キャンディーアップルの方が飴が甘めかな?あと飴自体からりんごのフレーバーをより感じるのもキャンディーアップルかな。ただ食感はポムダムールの方がツルツルしていてなめらか、キャンディーアップルは若干シャリシャリしている。おそらくコーティングの厚みはそんなに変わらない」

 「キャンディーアップルのりんごにはやや保管されていた古い風味が…。前回キャンディーアップル単体で食べたときには感じなかったと思うんだけど、個体差なのかポムダムールがフレッシュで並べて食べるとそう思えてしまうのかは謎」

 「トータルはポムダムールの方が好きかな。りんごと飴の食感の対比、りんご自体の味がポムダムールの方が上な気がする。キャンディーアップルも屋台のりんご飴よりはるかにおいしいけど。
 しかしこれ、りんご二つまるまる食べると普通におなかいっぱいだな」


ジャム
 「りんごがちゃんと美味しい。甘酸っぱくて硬めのりんごに甘い糖衣がパリパリ食感でアクセントを与えてくれている。りんごと飴を両方口に入れた時ちょうど良いバランスになる」


 「ポムダムールの方がりんごの味が強いかな。ポムダムールの後にキャンディアップル食べるとややりんごの味が薄い気もする。でも気のせいレベル。個体差かもしれない。正直どっちがどっちか判別できない」


 「お菓子とフルーツの中間みたいな立ち位置で楽しい。良いとこ取り。祭りの屋台で食べたりんご飴とは別次元の美味しさなのでりんご好きならオススメ」


 正直な話、自分程度の味覚ではあまり違いは感じなかったが、ポムダムールさんの方がよりフレッシュでりんごの味も強かったようだ。にるぎりがそう言っているので。

 それと食べてる途中で、ひとり一個ずつじゃなくて半分ずつにすれば良かったよねと気付いた。単純なことなのに後にならないと気付かないのは食べ比べテンションの魔力のせい。

 しかし両方とも専門店だけあって季節ごとに最適なりんごの品種を選んでいるらしいので、食べる季節によっても味は変わるだろう。こうなるとりんご本来の旬、秋から冬にかけて食べてみたい。

 旬のある生のフルーツを通年で美味しく食べさせるための品種選びや保存方法、りんご飴の世界も奥が深そうだ。

 屋台のジャンクな食べ物と思っていたけど専門店になれば立派なスイーツとして成り立っているのも感動した。
 ハンバーガーチェーン店や牛丼チェーン店みたいに外食ジャンルとして定着できるかは分からないけど、こういうニッチなこだわりから生まれたジャンルは楽しいものだ。
 りんご好きとしてはどちらのお店もできるだけ長く続いて欲しい。

 それと両方のお店とも、今回食べたプレーン意外にもいろんなフレーバーがあったから、興味があれば是非試して欲しい。


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