見出し画像

そうだ 缶飯、食べよう。

 新年度が始まった時点で1年の1/4が終わっているのおかしくないですか。光陰矢の如しというい言葉の矢の速度の20%くらいは年と年度の始まりのズレ由来だと思う。

 そんな時の流れの速さについ焦りを覚えてしまうけど、何かと備えがあれば少しは冷静になれるというもの。

 特に日本は地震も多いし非常持ち出し袋とか防災グッズなんてあるに越したことはない。

 そんなことは分かっていても何も用意できていない意識の低い小市民。そこで今回は非常食にスポットを当ててみた。


缶詰は非常食の王道です

画像1

 ご覧の通り、牛丼チェーンでおなじみ吉野家の缶詰。具だけじゃなくてご飯も一緒になっているスグレモノ。
 缶飯といえば自衛隊のイメージだったけど今はパックメシになっているんだっけ?

 非常食を食べざるを得ない非常時でも馴染み深い味であれば心にゆとりもでようというもの。質素で味気ない非常食はすでに過去のものなのだ。

 いつもの二人で食べ比べ。


にるぎり
 最近はラヴクラフトの小説にハマっているジャムの嫁。クドくてしつこい文章は嫌いじゃないけど『狂気の山脈にて』だけは「はよ話進めろや」とキレていた。分かる。


ジャム
 ナターリアのソウソウが4月20日発売と聞いてソワソワしているにるぎりの夫。にるぎりはパ・リ・ラの方が好きなんだって。どちらも良い曲だよね。


 缶詰のご飯って非日常感があってなんかワクワクするよね。
 でもにるぎりは缶詰嫌いなんだって!保存食なんかよりちゃんと美味しいもの食べたいんだとか。素直!


缶飯 牛丼

画像2

 丼に入っていない牛丼。非常時には丼は虚数的存在となるのだ。おなじみのオレンジカラーが安心感を与えてくれる。

画像3

 中身はこんな感じ。米はややベチャッとして見えるけど缶詰だから仕方ない。肉は確かに普通の牛丼に入っているものに近いように見える。

にるぎり
 「開けたところを嗅ぐと、冷凍牛丼温めたときと同じ香り。
 ウッ…加工品くさ!!!この…何?なんかこのレトルト特有のにおいってなんなんだ?これが保存料?食品添加物…?なのか?なんか時々加工品を食べた時に感じるその食べ物由来ではない感じの薬品ぽいというか作り物っぽい違和感のある風味、それがある…。
 見た目もなんかさ〜…脂と水分で二重にベチャッとしてて…汁だくっていうかヌルテカじゃない?!そのわりに肉がなんかえらい硬い…。あと、肉は缶詰コンビーフとかそういう保存用加工牛肉の風味がする。これやっぱり缶詰にするとこの味になっちゃうってことなのかな?
 玉ねぎは繊維に沿ってないタイプの切り方(横切りとでもいえばいいのか?)だけど、そのタイプのメリットである食感は当然ながらあまりない。
米(玄米かな?)は粒感があって悪くないけど、いかんせん油分を吸いすぎてずっしりジューシーである。ジューシーな米とは?でも個人的に具いらんかも。たれかけた米だけで缶にしてくれた方がまだいけそう。
 自分はちょっと…だいぶ…かなり…キツいな。ひとりで1缶食べきれないと思う。もちろん量的な意味ではなく味的な意味で。温めてもこれなので冷たい状態だとよほど他に食べるものがなくて相当の飢餓状態でないと無理ではないか…?」

ジャム
 「汁だく!香りはいい感じ。米が玄米なのは長く汁に浸かっていても米が溶けないようにという工夫かな?プチプチした食感が好きかも。
 具の味は確かに吉野家かなぁ。しばらく食べてないから分からん。味に染まっていない米の部分が無いから牛丼をイメージしてると裏切られるかも。どちらかというと牛おじやといった感じ。でもすき焼きよりは牛丼寄りの味がする。これはこれで美味しい。キャンプとか台風が来た時の夜とかに食べると3割増で美味しく食べられると思う」

 加工品とか保存食が鬼門のにるぎりには厳しかった。缶詰という仕様だから汁だくおじやになるのは仕方ないけど、缶詰に米と具が一緒に入っているというのは楽しい。


缶飯 焼塩さば丼

画像4

 店でもほとんど食べたことのないレアメニューまでも缶詰になっている。しかし魚は缶詰になることも多いし缶との相性は良さそう。

画像5

 焼き色の付いたサバの身が美味しそう!牛丼よりも汁気が少なくて見た目はなかなかどうして悪くない。

にるぎり
 「オッ開けた時のビジュアルがこっちの方が良い。なんだろ、牛丼は茶一色だからか?こっちは米が覗いててなんか日本人心をくすぐられる。
 ん?!こっちのほうが全然食べられる味だ!なんかこういうレトルトパウチのお粥を親知らず抜いたときに食べた記憶がある。これは普通に焼き鯖の乗った魚だし玄米お粥です。
 米だけで食べても魚のだしが効いててうま〜。牛丼ほど脂でグッチャグチャ!みたいな感じもなく、汁を吸ったお粥っぽくて食べやすい。
 焼き鯖は塩気が抜けてて臭みもなく食感も想定より柔らかい。脂もほどよく米の方に移ってる感じ。米との一体感ありますな〜。玄米のプチプチ食感も肉より鯖の方が合ってる気がする。
 全然おいしい。これは普通においしい。牛丼よりこっちがいい!これなら冷めててもひとりで1缶食べられる気がする。
 そもそも缶詰ってツナ以外基本好きじゃないんだけど、思うに肉より魚の方が缶詰特有の風味?が少なくて食べやすい気がするな…。
 牛丼はレビューするために嫌々スプーンを口に運んでたけど、これはパクパク食べられます。これ緊急時に備えてストックしたい」

ジャム
 「鯖のいい香り!さっきよりは米も白い。食感は変わらず玄米の食感が残ったおじや。鯖の味が染みていて牛丼缶よりも優しい味わい。具の鯖は結構分厚くてしっかりしている。味もちゃんと焼き塩鯖の味だ。
 これはかなり良いのでは?具の鯖が普通に美味しい。味付けがシンプルだから缶詰にしてもあまり変質しないからなのか。それとも魚の缶詰がたくさん出回っている日本だからノウハウが確立しているのか。牛丼よりも完成度が高いと思う。美味しい!」

 缶詰嫌いのにるぎりからも高評価を得るという快挙を成し遂げた。吉野家のメニューでも印象が薄いメニューだったのに見事な下克上。
 というか缶詰嫌いなのになんでツナ缶は良いんだ?


缶飯 豚丼

画像6

 一時期は牛丼の代替品みたいな感じだったけどすっかり定着した豚丼。

画像7

 見た目は色が薄い牛丼缶。缶に入っていることを除けば確かに汁だく丼になっているのがすごい。

にるぎり
 「やっぱり肉系は開けたときのビジュアルが…。めちゃくちゃテカってる…。米がヌルヌルしてる…。
 ん〜…なんか牛丼より豚丼の方がオモチャっぽい味だな…。でもそのおかげかこっちのほうがポップに味を誤魔化せているような…?
 やっぱり米が脂でヌルベチャ&肉が硬くてパサパサなのは牛と同じなんだけど、元々の肉の臭みと脂の質が牛より豚の方がライトなので、こっちのほうが悪目立ちしてなき気はする。
 あと、タレが牛丼よりも劣化しにくいんじゃないかとは食べる前から思っていて、実際そうだったと思う。牛丼のつゆの方がもっと複雑に色んな風味がして加工したときにバランスが崩れやすいと思うんだけど、豚丼の方がわかりやすい味だから加工には向いてるんじゃないかな〜と。
 でも牛丼よりはマシってだけでこれも別にめちゃうま〜!ではないです。焼塩さば丼ください」

ジャム
 「ちゃんと豚丼の香りだ。見た目は色の薄い牛丼缶。
 相変わらずの玄米おじや。具は牛丼と大差無いかな。牛丼よりはクセが少なくて食べやすいかも。正直牛丼缶があるのに豚丼缶を出す程ではないような気もするけど、緊急時にはちょっとした味の変化でもありがたいものなのだろう。クセが少ないという意味ではこちらをベースにして合間に牛丼缶を挟むとバランス良いかな。たださっき食べた焼塩さば丼缶の方が美味しかったな」

 焼塩さば丼の美味しさに食われてしまった印象もあるがちゃんと豚丼なので、缶飯特有のおじやっぽさが気にならないのであれば全然アリだと思う。


缶飯 牛焼肉丼

画像8

 非常用保存食だからこその細やかなバリエーション。このちょっとした差が追い詰められた時の癒しになるのだろう。

画像9

 牛肉に焦げ目がついている?焼肉であることをアピっている。玉ねぎも大きめ。

にるぎり
 「香りが違う!こっちの方が原作に近いというか、違和感がない。しかしビジュアルはこれもヌルテカである。
 こっちの方がタレの味も牛丼より濃いから牛丼よりは元の味が損なわれてない感じするな。食べやすい気がする。あとなんか味のせいかタレの質感のせいか肉のパサつきが気になりにくい?しかしやっぱり米が加工品の香りするんだよな〜。
 食べられないほどじゃないので多分温かければひとりで1缶は食べられる気がする。逆に冷たいとどうだろう…冷えてたら牛丼よりキツイかも…」

ジャム
 「匂いが違う?ちょっと焦げの匂いがする気がする。味も焦げっぽいというか香ばしいというか、普通の牛丼缶より焼いてる感が感じられる。あと普通の牛丼缶より素直に砂糖醤油の味がする気がする。食感はやっぱりおじや風。結構こってり系かな。あまじょっぱい味と香ばしさで結構美味しいのでは」

 食べてみると牛丼との差が思いの外はっきりしていた。濃い味付けだからこちらの方が缶詰向きかも。


缶飯 豚生姜焼丼

画像10

 豚にもバリエーションを入れてくる抜かりのなさ。

画像11

 こちらも玉ねぎ大きめ。色に若干の違いがあるけど牛焼肉丼とは間違い探しレベル。

にるぎり
 「すごい生姜の香り〜!生姜焼き食べたくなる…。ていうか豚生姜焼き丼、原作食べたことないんだけど普通の生姜焼きが乗ってるご飯なのかな?
 あれ?なんか生姜がめちゃくちゃ利いてるおかげか?あんまり加工品的香りが気にならない!牛丼・豚丼・牛焼肉丼より食べやすくない?フルーティーな甘味のあるタレだ〜おいしい…結構好き…原作も食べてみたい。冷たいとどうなるかちょっと想像つかないけど、温かければひとりで1缶は余裕!
焼き鯖丼と豚生姜焼き丼が今のところかなりいいな〜、自分はストックするならこの二種だな」

ジャム
 「思ったより生姜の香りがしない?食べてみてもこれの個性が分からない。強いて言えば入っているタマネギが大きいくらい。正直皿に盛られて出されたら豚丼缶と区別がつかないと思う。そもそも薄切り肉だから濃い味付けで缶詰になると牛と豚の違いが消える。あー、食べ続けてると生姜を感じてくるかな」

 二人の生姜感度の差が如実に現れた。臭み消しの代表格生姜だから缶詰との相性が良かったのだろう。にるぎりから焼塩さば丼に続く合格点がでた。


缶飯 焼鳥丼

画像12

 タレ味なら缶詰と相性良さそうだし、焼鳥の缶詰もあるくらいだからちょっと期待してしまう。

画像13

 ごろっとした鶏肉が目を引く。やっぱり薄切り肉より塊の方がテンション上がるよね。

にるぎり
 「なんか鶏肉の質感のせい?レーション感がすごいんだが。牛と豚のヌルテカに文句言ってたけど乾いた感じだとそれはそれでなんか……ヌルテカの方がマシかもしれんな…。ウワッにおいも想像上のレーションなんだが!!!おいしくなさそう!!!
 味は…まあ…う〜ん?みりんがすごい利いてて焼き鳥丼味ではある。焼き鳥丼味ではあるんだけど鶏の脂が抜け切っててなんか…切ない…。あとみりんが強すぎて若干えぐいまである。後味までみりんなんだが?多分生卵落としたらおいしい。牛豚よりヌルテカしてないので冷めてたら一番マシかもしれない。しかし温かいと逆に物悲しさがすごい。こんなことあるん?
 まずくはないんだが…なんだろう…なんか一番非常食食べてる感がある」

ジャム
 「ごろごろと肉が入っていると嬉しくなるね。
 食べると炭の香りが焼いてるアピールしてくる。焼鳥のタレ味。鶏肉は胸肉かな?ジューシーさはないけど柔らかくほぐれていく感じ。米が安定のおじやで水分多いから肉と一緒に食べると食感のバランス取れるかな。肉が入っている感が一番強くて結構好き」

 にるぎりの言う通り確かに一番「非常食」感が強いかも。そこが楽しく感じる人とそうでない人で評価が割れる一品。


総評

にるぎり
 「焼塩さば丼と豚生姜焼丼しか勝たん。
 食べ物に対してまったく寛容でない自覚があるので、自分のような食に対して細かくうるさい人間は非常時に何をどう食べて乗り切ればいいんだ…せめて自分の口に合うものをストックしておきたい…しかしそのためにわざわざ出来立ての食事よりおいしくないとわかっているものを予め試食をするのも嫌だ…という思考によりお菓子以外のストックが出来ておらず、大きめの地震や台風が起こるたびに「ヤバイな……せやかて……」みたいな気持ちだったけど、今後は吉野家の焼塩鯖丼と豚生姜焼き丼の缶詰をストックしておけばいいということを知ることができて嬉しいです!!!
 6種食べたけど個人的に一番味が微妙だったのは牛丼だった。吉野家なのに?!切なすぎる。ちなみに牛丼は吉野家派ですが近年までそもそも牛丼がそんなに好きじゃなかったので実はすき家とか松屋の味はよく覚えてないです。(松屋は牛丼じゃない!牛めしだ!と松屋派の妹に怒られたことある)
 吉野家の牛丼は冷凍のやつが結構イケるので非常時はそれを自然解凍して食べた方がいいと思いました。
 他の非常食も食べてみれば案外口に合うが見つかる…のかもしれないが、間違いなく自分からは食べないのでまたじゃむしがこういうネタを仕入れてくるのを待つ。まあいいんだ、俺には焼塩さば丼と豚生姜焼丼があるからな」

ジャム
 「焼塩さば丼がダントツで美味しかった。あれは普通にスーパーマーケットの棚に並んでほしい。日本人は魚の缶詰に慣れているからか、案外違和感なく食べられる。味付けも缶詰にマッチしてた。次いで焼鳥丼かな。缶詰の中にはっきり分かる具がご飯と一緒に入っているという楽しさがあるのがこの2つだった。
牛焼肉丼と豚生姜焼丼が同率で3位かな。濃いあまじょっぱ味と生姜風味は缶詰に向いている。
上の4つと比べると定番のはずの牛丼と豚丼がやや見劣りするかも。多分店で食べる用に研究された味だから缶詰には向かなかったんじゃないかな。下手に店の味を缶詰で再現しようとしたのが裏目に出たかも。
 でも緊急時にこういう珍しい缶詰があるとちょっと楽しくなれて良いかもしれない。味のバリエーションも多い方が飽きないから6種揃って備蓄しておきたい。そもそも缶詰ってなんかいいよね。わくわくするよね」


 缶詰にはロマンが詰まっているんだよ。おうちキャンプにも合うし、ディストピア飯としてもいいし、もちろん保存食にもオッケーな食べ物。

 保存性と味の両立はとても難しいとは思うけど、その課題をクリアして世に出回っている缶詰たちには畏敬の念を禁じ得ない。もっともっと変わり種缶詰が増えてほしいものだ。

 とりあえず買った缶詰全部食べてしまったので備蓄用にまた買わなければ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?