見出し画像

そうだ カレー、食べよう。

 noteに記事を書くときは大抵食べ比べになっているのだけれど、そもそものきっかけは、にるぎりがレトルト食品をほとんど食べたことがないという事実だった。
 最初はレトルトの牛丼と缶詰のミートソースだったが、いつの間にか色々なジャンルのものを食べていた。

 今回は初心に帰ってレトルトを食べてみる。そしてレトルトといえばカレー。何しろ市販のレトルト食品としては世界初なのがカレーだそうだから。


金曜日じゃないけどカレーでもいいじゃない

 一口にレトルトカレーといっても、それこそこだわりのカレーに入れられたスパイスと溶け込んだ香味野菜の数を軽く凌駕する種類の商品が出回っているため、独断と偏見で9種類選んでみた。

画像1

 定番のボンカレー、ククレカレーを軸に選んでみたが同じブランドでもバリエーションがあったのでメーカーとしては4つ。実は自分もボンカレーゴールド以外は食べたことがない。
 そして今回の参加者はいつもの二人。


にるぎり
 モンハンライズを早々にクリアして勲章集めに勤しんでいるジャムの嫁。今回の食べ比べで北京オリンピック競泳の記録ラッシュも真っ青なレトルト食品実績解除ラッシュとなる。モンハンでは双剣をメインに相手によってチャージアックスを使う。


ジャム
 モンハンライズをボチボチ進めつつ競馬のけの字も分からぬままウマ娘も雰囲気で進めるにるぎりの夫。レトルト食品は人並みに食べていたがカレーに限ってはスパイスで作るタイプだったのであまり食べたことがなかった。モンハンでは狩猟笛一択。ライズでカリピストが増えて喜んでいる。


カレーは最強なのでどんなメーカーのどんなブランドでもハズレは無いと確信している。


ボンカレーコールド

画像2

 いわゆるボンカレー。よく目にする一般的なボンカレー、実はゴールドだった。何がゴールドかは知らない。レトルトカレーの代名詞的存在。

にるぎり
 「フツーのレトルトカレーの匂い。具は角切りのじゃがいもと小さいにんじん。最初の口当たりはやや甘めか?と思ったけど後味はそうでもない。
 なんか前はレトルトカレー食べると気持ち悪くなっちゃってたけど、いまのところこれを食べて気持ち悪くはなってない。けしてまずくはない、フツーのレトルトカレー。まだ他と比べてみないといまいちわかんないな…」

ジャム
 「安心するカレーの香り。食べ放題系に置いてあるカレーの味。イメージ通りのレトルトカレー。甘みのある味で後からふんわりとスパイスの刺激が追ってくる。具もいかにもレトルトといった量と質。レトルトカレーの王道」

 普通のレトルトカレー。分かってるんだよそんなことは。その普通の基準を作り上げたことが偉大なのだ。こういうのでいいんだよ系カレー。


元祖ボンカレー

画像3

 発売当時の味を再現した復刻版。パッケージの色あせや汚れまで再現してある。一般向けの市販レトルト食品としては世界初のものらしい。カレーのみならずレトルトの始祖。

にるぎり
 「ん、なんか匂いが違う。さっきより香ばしい。具は角切りのじゃがいもと角切りのにんじん。
 ん?!味も違う!こっちのカレーはなんか学校給食みたいな感じがする。何が違うのかわたしの舌では掴みきれない感じだ…何が違うんだ?
 改めてさっきのボンカレーゴールドも食べてみると、ゴールドの方がスパイスを感じる。元祖の方がまったりもったりした感じだ。まろやか味。小麦粉かな…?」

ジャム
 「色が黄色い。香りも味もゴールドとは違う。気のせいかもしれないけどフルーツとポークを感じる味。個人的にはこっちの方が好みかな。違うのは分かるけど何がどう違うのか的確に言えなくてもどかしい」

 確かにゴールドとは違う味だった。何というか小麦粉のまったりした昭和の家カレーというものか。色が黄色なのも昔ながら感があって良い。パッケージ同様味わいもレトロ。好みの人にはすごく刺さりそう。


ボンカレー ネオ

画像4

 元祖の次はネオ。過去を振り返るばかりじゃダメなんだという強い意志を感じる。流石はボンカレー。しっかりと未来に向かって歩みを進めるその姿勢は見習いたい。

にるぎり
 「ボンカレー三つ並べると色が違う!なんかネオは赤黒い。具は角切りのじゃがいもとにんじん、なんか小さい肉。
 ん…なんか、なんだ?肉かな…?なんか後味のコクが違う。ネオが好きかな〜、なんか一番ふつうに作った家カレーっぽい。レトルト感が弱いというか。市販のカレールー味というか。野菜の旨味みたいなものを一番感じる。
ルーだけで食べ比べてみると、ゴールドや元祖よりも酸味がある気がする」

ジャム
 「ゴールド、元祖よりもスパイシー。ボンカレーの中だと一番レトルトじゃない味な気がする。
 ゴールドは甘みが強くて、元祖はまったりしつつ塩味が強くて、ネオはスパイスが強い。一番本格的な味と言われればネオかな。あとは好みで選ぼう」


 確かにネオ。一番モダンというか、現代のカレーの味がした。レトルト感も薄くて完成度は高いんだろうな。普段売り場を見てなかったから気付かなかったけどボンカレーにもバリエーションがあったんだね。三種のボンカレー食べ比べ定食とか出したら売れそう。


トップバリュー ビーフカレー

画像5

 食べ比べだとだいたいネタ要員オチ要員にされるトップバリュー。値段でいえばダントツの安さ。驚きなのはこれよりさらに安いビーフじゃないカレーも売られていること。肉無しカレー。気になったけど今回は肉ありにした。

にるぎり
 「色は黒め、ボンカレーに比べるとサラサラめ?具は小粒すぎて何かわからない。
 お?スパイス強めな感じだ。スパイスのガツン!に比べてこくと旨味が弱い感じ。ボンカレーシリーズの方がもっと豊かな旨味があった。
 なんだろな…なんかちょっと前のめり感がある。クソマズ!食えるかこんなもん!とは思わないけど、これ!という決め手にかける感じ…」

ジャム
 「あれ?意外とちゃんとしたカレーだ。ボンカレーネオに近い気がする。カレーをぶち込めばなんでも食べられるようになると言われている通り、安くてもハズレではない。これが企業努力とスパイスの力なのか」

 パッケージを見ずに出されたらトップバリューだと気付かないだろうな。値段ほどの極端な差は感じられなかった。つまりコスパでいえばかなり強いですよ。流石はカレー。スパイスは偉大。


銀座カリー

画像6

 フォントがお洒落。パッケージの文字がビーフではなくビイフなところにこだわりを感じる。名前を聞いたことがあるという理由でにるぎりがリクエストした一品。

にるぎり
 「具材は細切れ肉。あとなんか玉ねぎのようなものも感じる?
 ん〜?!なんだこれすごい香りだ!なんのスパイスだ…?まるで薬湯に浸かっているかのような…。
 味は酸味もえぐみもあり、かなりキリッとした印象。なんだろう…なんか全体的に強さを感じるお味だ。ずっと食べてると飽きそう」

ジャム
 「具が肉しか入ってな!(玉ねぎも入ってた)
 今までで一番牛を感じる。牛を煮込んだ苦味と酸味の入り混じったえぐみを感じる。後から玉ねぎとフルーツ由来と思われる甘みが追いかけてくる。洋食屋のカレーだ」

 確かに「ビイフ」を感じた。ボンカレーやトップバリューと比べると一気にレトルト感が無くなった。洋食ビーフカレーが好きならオススメだが、気取らないレトルトカレーを期待しているとびっくりすると思う。


ククレカレー

画像7

 ボンカレーと並ぶレトルトカレーの代名詞的存在。ボンカレーもそうだったけど、最近のレトルトカレーは箱のまま電子レンジで温められるんだね。

にるぎり
 「おっなんか色が黄色くてライトな感じ。具材は角切りのじゃがいもとにんじん。
 ムッ?!すごいまろやかだ!これで中辛か〜、甘口どうなっちゃうんだ?ってくらい口当たりが柔らかい。なんかえらいクリーミーやな〜と思ったらバターミルクパウダーなるものが入っていた。粘度もご飯との絡みが良さそうな感じで、子供が好きそう。
 TDLのクマのカレー屋さんに味が似ている…と思ったら同じ会社だったわ」

ジャム
 「見た目が一気にレトルトカレーに戻ってきた。まったりとした黄色!角切りのニンジンが目立つ。味は甘さが目立つ。これがパッケージに書いてあるりんごの効果なのか。バーモントカレーもそうだけど、ハウス食品はカレーにりんごの組み合わせ好きなんだな。
 ボンカレーゴールドと似たレトルトカレーの王道味。ボンカレーはまったりした甘みだったけど、ククレカレーはフレッシュな甘さ」

 代名詞的存在なだけあってこちらも王道のレトルトカレー。マイルドな口当たりで世界名作劇場の味がする。


咖喱屋カレー

画像10

 漢字が難しい。ハウス食品、ククレカレーというレトルトカレーを持っておきながら別シリーズを立ち上げて、しかもこちらを第1位と推しているあたりレトルトカレー市場の厳しさを感じさせられる。

にるぎり
 「具材は角切りのじゃがいもとにんじん、あとなんか小さい肉。ん〜?なんか華やかな香り…なんの香りだろこれ?
 なんかカレーとは思えない粘質である。なんて言ったらいいんだろう…ドロドロとサラサラの中間というか、なんかトロ〜リとしている。独特な質感。
 自分はレトルトカレーってこれしか食べたことなかったけど、久しぶりに食べてみてもなつかし〜!という感じはあまりしなかった。他とは一線を画す香りで好みが分かれそうなところだけど、個人的にはこれの後味が好きかも。適度な後引き感」

ジャム
 「さっき甘みの強いカレーを食べたからか、だいぶ酸味を感じる。二口目からはさほどでもない。
 なんか普通のカレーだ。家カレーとレトルトカレーの中間、平均値を割り出して作ったみたいな味だ。美味しいんだけど特徴を感じられない。尖った強みも弱みもない万人向けカレーかなあ」

 にるぎりが一線を画すと評した香りを残念ながらジャムは感じ取れなかった。しかしバランスの良いカレーだとは思う。このシリーズ、引くほど種類があった。普段見ない商品棚を見ると驚きがあって楽しい。


ザ・ホテル・カレー

画像9

 ハウス食品いろんなシリーズを展開してるな。このシリーズも同じ中辛でも「濃厚」「香り」「コク」とあってどう違うのか気になったが断腸の思いでコクをチョイスした。

にるぎり
 「具材は肉と玉ねぎ。ん?!???!すごい赤ワイン臭だ!一瞬デミグラスソースか?!と思ったがゆっくりとスパイスが追いかけてきた。いやしかしこれはほぼほぼ赤ワインで占められた味だな…。酸味もあるし。
 ここまで食べたらフツーに気持ち悪くなってきた。レトルトカレー、やっぱり量食べるとダメ疑惑」

ジャム
 「今までで一番飴色玉ねぎを感じる。そして牛のえぐみも感じる。
玉ねぎの甘みが強い。いわゆる普通のカレーじゃなくて洋食屋のカレーだ。名前通りホテルで出てきそうなカレー。銀座カリーも牛が強かったけど、こちらはそれに玉ねぎを追加してある味。目指している方向性がはっきり見える」

 ホテルとか洋食のカレーが好みのにるぎりはこのシリーズに期待を寄せていたけど流石に気持ち悪くなってきていた。最初の方に食べれば評価もまた違ったかもしれない。銀座カリーと似たベクトルのカレーでレトルト感はほとんど無い。


ザ・ホテル・カレー プレミアムクラス

画像10

 ハウス食品、容赦無くレトルトカレーシリーズを展開しているな。黄金に輝くパッケージはいかにもプレミアム。何だよ仔牛のフォンって。何だよマディラ酒って。庶民には分からない多分美味しいっぽいものが入っているらしい。

 にるぎり
 「お!大きめの肉とマッシュルームが入ってる。玉ねぎも少々…?
 ん〜…期待してたけどそんなにめちゃうま!って感じでもないかな。バランス型洋食屋カレー。
 ザ・ホテル・カレーコクの中辛に比べるとこっちの方が万人受けする味。取り立ててこう!という部分が無い…。
 う〜ん、もうこれ気持ち悪くて正常な判断ができてる気がしないな…レトルトじゃなくておいしいカレー食べたい…」

ジャム
 「ごろっとした塊肉が目を引く。マッシュルームも入ってる。確かにプレミアムだ。カレーソースの味はさっきのホテルカレーとほぼ同じだけど気のせいかプレミアムの方が甘みが弱いように感じる。しかしこの塊肉は食べた時の満足感がある。マッシュルームの食感も良い感じ。流石はプレミアム」

 一番のプレミアム感は塊の肉でした。今回食べた中では唯一しっかりとした肉が入っていて、それだけでプレミアム。仔牛のプーだかポーとか、なんちゃら酒については小市民なので分かりませんでした。
 今回一番高かったからにるぎりは期待してたけど最後に食べたのが良くなかった。


総評

にるぎり
 「オエーッ気持ち悪〜!なぜ人はレトルトカレーを食べると気持ち悪くなってしまうのか?そしてなぜそれを学習できないのか?
 並べて食べてみると一口にカレーと言ってもいろんな味があるなあと思った。並べると全然味違う。しかしカレーという味が強すぎて、一つ食べると一つ前の味を完全に忘れる。都度食べ比べないと判断が鈍る。
 終わったあと全部のカレーを米なしで再度食べ比べてみたんだけど、わたしはククレカレーとか元祖ボンカレーとかの、甘めでコクがあってまろやかなやつが好きかも。変にゴテゴテしてない感じも食べ進めやすいし。ココナッツのカレーとかバターチキンカレーとかはあんまりで、辛い食べもの好きだから自分でちょっと意外だったけど。
 逆にスパイスが強すぎるとちょっときついかもしれない。銀座カリーのスパイスすごかった。そしていま食べてみると、銀座カリーは桜道明寺のような風味がある?なにこれ…?
 うーん、今回は完成度で判断するのがすごく難しかったなあ。どれも水準は同じで、当然なんだけどあとは個人の好みに委ねられてる感じだ。人の好みを聞きたくなった。
 わたしはそもそもレトルトカレー向いてないなと改めて思った。気持ち悪い」

ジャム
 「ボンカレーやククレカレーは流石レトルトカレーの代名詞的存在なだけあり、イメージ通りのレトルトカレー味だった。微妙な違いはあるけど個人的に多分そこまで気にならない。
 銀座カリーとかホテルカレーはレトルトではなくちゃんとした店の味に近く完成度が高い。でも焼きそばを食べたい気分とカップ焼きそばを食べたい気分が違うように、カレーとレトルトカレーも別ジャンルだと思う。いかにも気安いレトルトカレーが食べたいって時はボンカレーとかククレカレーの方が美味しく感じると思う。
 だけど流石はカレー。どれもハズレがなかった。個人的には元祖ボンカレーがレトロで昔のカレー味がして好きだった。『レトルトカレー』が食べたい時はボンカレーかな」


 今回はにるぎりのレトルト実績解除ラッシュとなったわけだが、やっぱり根本的にレトルトはあまり好きじゃなかったっぽい。でも何故かレトルトのカレーが食べたくなる時ってあるよね。そんなときは気取らず素直にボンカレーとかククレカレーを選ぼう。
 逆に本格的な洋風カレーをおうちで食べたいときは良さげなレトルトカレーでも十分に楽しめると思う。それだけレトルトカレーの懐は広く深いのだ。

 ただせっかくの良さげなレトルトカレーも雑に盛り付ければ視覚的にレトルト感を感じてしまうので、そんな時のために擦ると魔神が出てきそうなランプに似た形のカレーを入れる容器(グレービーボートとかいうらしい)を買っておくといいだろう。
 今回なら銀座カリーとかザ・ホテル・カレーとかを入れれば誰もレトルトとは思うまい。ちょっぴりリッチな気分でカレーを楽しめる。
 でも四角い形のままほぐさずに皿にひっくり返したパック飯の上にパウチ袋から直接カレーをぶちまけた雑なレトルトカレーライスも乙なものだと私は思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?