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電気的地球科学への招待③ー複雑な重力

一般に科学は自然現象の背後にある単純な法則を見出すものだと言われます。自然現象を数式で表すためには、数式に合うように現象をデフォルメする必要があります。ところが肝心の自然の側は人間の都合とは裏腹に、非常に複雑な仕組みを持つことがあるのです。従来、重力はモノが集まると自然に発生すると考えられてきました。そのため、地球のような惑星は内部にまで岩石がびっしりと詰まっていると推測されてきました。しかし、前回解説したように地球内部には大きな空洞が存在します。地球の厚さは3000キロメートル程度しかない可能性が高いのです。キャベンディッシュの実験が反磁性を検知したことは間違いありません。質量は重力を生みません。では、どのような仕組みが重力を発生させているのでしょうか?
万有引力と呼ばれるようにニュートンは宇宙にも地上と同じように重力が働いていると考えました。しかし、このシリーズの最初に説明したように宇宙で重力のように見える力はプラズマによる電磁気力です。引力だけでなく反発力もあります。いっぽうの地球上の重力には反発力はありません。重力が電磁気力なら、金属板で遮ることが出来そうですが、それもできません。複雑な仕組みを持つ重力を段階を追って説明してみます。


質量は電磁質量

物質は原子で出来ています。原子は大部分の質量を占める原子核と周囲の電子から成ります。原子核は陽子と中性子から出来ているとされます。しかし、「科学史から見た量子力学の間違い」で説明したように原子核は陽子が電子によって結合されています。中性子は陽子に電子がくっついたものです。すると物質は陽子と電子から構成されているとわかりました。陽子、電子は荷電粒子です。荷電粒子に力を加えると磁場が発生して、磁場による抵抗が生まれます。陽子と電子は電荷の向きが違うので、磁場の向きも反対になります。力を加えたときの磁場は物体の外には出てきません。抵抗だけが現れます。
この電磁質量は20世紀前半にわかっていました。

ところが中性子を素粒子としたため、質量に対するオマケのような存在と考えられてしまったのです。繰り返しますが中性子は陽子に電子が結合した複合粒子です。中性子が回転すると磁場が発生することからも、陽子と電子が結合した双極子であることがわかります。さらに原子核の外では中性子は約800秒で陽子と電子に崩壊することからも明らかです。
質量は物を動かそうとしたときにだけ現れるという性質は、まさに荷電粒子に力を加えたときの挙動そのものです。

EMドライブ

ところで、EMドライブをご存じでしょうか?EMドライブは1999年にイギリスの技術者によって発明されたエンジンです。

wikipediaではEMドライブはケーブルにかかる地球磁場の力を誤検出したとされます。しかし、個人でEMドライブを試験したBerca氏のサイトでは明らかに推力が検出されています。

EMドライブは密閉した鼓状の金属容器内にマイクロ波を照射すると、片一方に推力が生じるというものです。運動量保存の法則に違反しているなど、標準理論では説明のつかない現象であるため、トンデモ扱いを受ける場合が多いようです。
しかし、EMドライブの構造を見たとき、ピンとくるものがありました。電磁波は電界のパルスです。詳しくは以前のnoteを読んでいただきたいのですが、簡単に説明すると電磁波は周囲に存在する荷電粒子を媒質にして伝わります。空気中なら、酸素分子、窒素分子を電界のパルスが数珠つなぎに伝わる現象です。

金属の表面に電磁波が照射されると、金属原子の周りを囲んでいる電子が励起されます。励起されるというのは電圧が上がることです。このため、原子の周りにある電子が片方にずれます。これを電子分極と言います。

https://www.vinita.co.jp/institute/radiofrequency/020040.html

電子分極が起きると原子核が分極で偏った電子の方に引かれます。EMドライブでは金属面に当たったマイクロ波が電界を生じさせ、電子分極が現れているのですが、その極性が微妙に片方に寄っているだけで、わずかな力しか発生してない状態だと考えられます。
EMドライブの推力を改善する方法はいくつか予想できます。ひとつは位相のそろったマイクロ波を用意すること。金属表面に当たるマイクロ波の位相が揃えば、電子分極の向きもそろうので、原子核が引かれる力も大きく現れます。しかし、電子を磁石で曲げるときに制動放射で発生するマイクロ波の位相を揃えることはかなり難しいでしょう。もうひとつは単純ですが、金属にバイアス電圧を加える方法です。たとえば、10kVくらいの電圧を加えておけば、マイクロ波によって生じる電界に対して、常に反発するか引き合うか、どちらかの力が発生します。

金属にあらかじめ高電圧をかけておく

この方法なら、バイアス電圧の極性を変えると推力の向きも変えることが出来ます。
残念ながら、これらの方法は実際の実験では試されていないようです。ここでは物質に電磁波を当てると電界による力が発生することを確認しました。個々の原子に対して力が発生することは電磁質量と同じ仕組みです。

地球で最強の電磁波

ところで、私たちの周りには非常に強い電磁波が24時間発生しています。シューマン共振と呼ばれる極端に低い周波数の電波です。シューマン共振は7.83ヘルツを基本として、いくつかの周波数にまたがる電波です。

wikipediaより

この周波数の電波はELFと言って知られていますが、物質をよく透過する性質があります。神岡鉱山は地下1kmにニュートリノ検知装置を設置していますが、ここでもシューマン共振は観測されます。
シューマン共振の発生源は世界各地で常に起きている雷放電による電波が、電離層と地表の間で反射されることで作られていると説明されます。

シューマン共振の周波数を波長に直してみます。電磁波の周波数と波長の関係は以下の式で求められます。

f=c/λ cは光速、λは波長

地球の半径は6371km、c光速は299792458m/s、円周率は3.141592としました。
この式で確かめてみると地表の長さを1波長とした場合の周波数は7.49Hzになります。wikipediaの説明では、電離層と地表の間で共振するので、もっと低い周波数になるはずです。
そこで、7.83Hzで半径を計算すると6096kmになります。これは275km地下のマントル上部、アセノスフィアの部分にあたります。

地球の内部構造だが、3000キロより下はおそらく空洞

つまり、地下275km付近ではカンラン石が花崗岩に変化する作用が起きていて、そこでは大量の電子が放出されていると予想できるのです。カンラン石(SO4)が何と反応しているかといえば、地球内部に大量の存在するメタン(CH4)です。
2SO4 + CH4 -> 2SO2 + 2H2O + CO2 + 2e
この反応は予想ですが、似た反応に蛇紋岩化作用があります。

カンラン石がメタンと反応すると考えるといろいろと都合の良い結果をもたらしますが、これは別の記事で紹介します。この反応で生まれた膨大な量の電子が自転により回転することでシューマン共振が発生しているのです。

重力を安定化させる仕組み

シューマン共振は比較的広く観測されています。ご存じの人もいると思いますが、シューマン共振の強度は刻一刻と変化しています。

縦軸が周波数、横軸が時間

このような変化する電波が生み出す重力ですが、私たちが感じる重力は極めて安定した性質を持ちます。じつはシューマン共振が変化しても、重力を一定に保つ仕組みが地球にはあるのです。
シューマン共振のような低い周波数の電波は電離層で反射することが知られています。電離層は陽子、電子が密度が高く存在します。荷電粒子が密集すると電磁波を反射することが知られています。シューマン共振は地下275km付近で照射されますが、電離層で反射して地表に戻ります。地表から少し下に透過すると、そこにも大量の電子が存在するため、再び電離層に向かって反射されるのです。反射は減衰するまで続きます。

下と上からの照射にはさまれ、その差による力が下側への重力

地殻から放射されるシューマン共振が物体に作用する力をFu、電離層から反射されたシューマン共振が物体に作用する力をFdととします。1回目に電離層で反射したFd0とその反射波が再び地殻内部で反射したFu1を考えると、物体に働く力は、

Fd0 - Fu1

となります。上からの放射は上向きの力となり、下からの放射は下向きの力になるわけです。反射はn回繰り返されるとすると、力は次の式になります。

F = Fu0-Fd0+Fu1-Fd1+ ・・・+Fun-Fdn = Σ(Fun-Fdn)

このとき、反射する電離層の高さが変化しても、Fun-Fdnは一定の値をとることがわかります。電離層が高くなれば、Fdnも減少するがFu(n+1)も減少するからです。Σ(Fun - Fdn)は電離層の高さに関わらず、ほぼ定数と成ることがわかります。シューマン共振の強さが変化しても同じです。

もうひとつ、重力を保つ仕組みが存在します。地表から上空に物体を持ち上げていくと、いずれは電離層を抜け、宇宙空間に出て行きます。

高度が高くなっても重力の強さはそれほど減少しない
wikipedia

電離層を超えても重力は無くなるわけではありません。じつは地上の重力から宇宙の重力ープラズマの電気引力・斥力に徐々に変化する仕組みがあるのです。

大気の電離度は電離層の始まる30km付近まで高くなり続ける

一般に地球大気は宇宙線の影響で弱くプラスに電離しています。大気中の物体は大気の影響で帯電しています。高度が高くなるほど強くプラスに帯電するのです。このため、地表のマイナスから電気的に引かれることになります。高度がどんどん高くなると、シューマン共振による重力が減少しますが、電気引力が増えていくため、それほど重力が減少したとは感じないのです。30kmを超えるとシューマン共振による重力からプラズマの重力へと変化します。この仕組みは非常にうまく出来ていると思います。1960年代に宇宙に人類が出ていくことが出来ても、徐々に変化する重力の仕組みが万有引力を疑わせなかったのです。

気体には重力が働かない

地上の重力を考えるうえで重要な点は、気体には重力が働いていないということです。たとえば、バケツに水を入れて下から上に振り回します。勢いよく回転させると水は遠心力で逆さになってもこぼれてきません。遠心力により水に力がかかっているからです。バケツの底には遠心力で圧力が生じているでしょう。
では、空のバケツを回転させるとどうなるでしょうか?ぐるぐる回すとバケツの底に圧力は生じるでしょうか? じつは少々の回転速度では空のバケツには圧力は生じません。空気分子は秒速400mくらいで動き回っているため、バケツの回転で遠心力をかけることはできないからです。気体に遠心力をかけるためには音速を超える回転速度が必要です。
標準理論には等価原理が存在します。重力と遠心力が等しいという原理です。等価原理が正しければ、遠心力の働かない気体には重力も働きません。シューマン共振による重力は電子分極による力なので、気体のようにくるくる動き回っている原子に対して、電子分極は追い付かないのです。つまり地球大気には重力は働いていないことになります。大気が地球に張り付いているのは、弱く電離した大気が地球のマイナスに引き付けられているからだと考えられます。また大気圧は重力によって大気が積み重ねられた圧力ではなく、大気電位により作り出されたイオン風という現象が圧力を作っているのです。

地表と電離層の間には約30万ボルトの電位差があります。電位差は地表付近で1mあたり100Vもあり、高度が高くなるにしたがって徐々に減少します。この電位差がイオン風という現象を作り出し、大気圧として感じることができるのです。

まとめてみましょう。地上の重力はシューマン共振による力の発生です。地上から宇宙にかけて、シューマン共振からプラズマの電気引力・斥力に変化します。大気には重力は働いていません。大気電位によるイオン風が大気圧の原因です。複雑な重力の仕組みを解説してみました。次回はなぜ地球は自転しているかを説明します。



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