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雪崩ビーコンへの電磁干渉


一般的に、雪崩ビーコン送信時は金属類から20cm以上、受信時は電子機器から50cm以上離すことが必要です。では、雪崩ビーコンに電子機器や金属を近づけるとどういった影響があるのでしょう?雪崩講習会向けにビーコン波形モニタなどを使って動画を撮ってみました。

1. 電磁ノイズの影響

電子機器が発生する電磁ノイズが増えて微弱な信号が埋もれてしまい、雪崩ビーコンが埋没者の捜索に影響が出ます。

動画では、途中(0:09)から画面をONにしたスマホをビーコンモニタに近づけて、終わりの方(0:17)で離しています。2台のビーコンのうち、遠い信号がノイズで隠れてしまうのが分かると思います。

2. 複数埋没時の受信パルス

複数埋没のとき、一人目を発見したときはマーキング機能を使って次の埋没者の捜索に移ります。マーキング機能は最も強い受信パルスをキャンセルするようにマスクする機能です。

動画では、雪崩ビーコンのパルス周期は互いに同期していないので、パルスが流れているのが見れます。この辺はマーキング機能の限界みたいなものが分かると思います。

次の動画は、雪崩ビーコン信号が同じ強さのときの干渉です(※無線用語では混変調と言います)。同じ強さの信号を受信すると差分の周波数(数Hz~数10Hz)が信号に乗ってしまうので、正常な解析が出来ません。そういう場所には留まらずにどちらかに移動すると干渉が避けられます。

3. バーアンテナへの金属干渉

次の動画はSDRドングルを使って、金属片がバーアンテナに干渉する動画を撮ってみました。

バーアンテナとバッテリー切れのスマホ

雪崩ビーコンが送受信アンテナとして使っているバーアンテナに金属を近づけることで同調周波数が変わり、送信出力の低下や受信感度の低下が起きます。 SDRドングルでビーコン信号を受信していますが、バーアンテナの同調周波数がわかるように広帯域雑音を入れています。

広帯域ノイズ発生器

最初にポリバリコンで同調周波数を上下に振って、再度457kHzに合わせます。(0:48)電池切れのスマホをアンテナに置いて、最後の方(1:18)で離します。バーアンテナを通る磁束が減るのでインダクタンスが減って、同調周波数が10kHz程上がっています。

バーアンテナの同調周波数が457kHzからズレると、受信の場合は受信感度が低下します。送信の場合は送信レベルが下がります。いずれの場合も、受信側の距離表示が大きくなり、遠くのビーコン信号が検出できなくなりまます。

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