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リアルよりもリアル。「君に愛されて痛かった」

人間社会は苛酷である。学業や運動、容姿や仕事能力等で様々な区別をされその中で生きていかなければならない。そしてそんな社会では誰しもが辛い目や不幸に見舞われたりしてしまうのが世の常である。しかし、そんな中で精一杯自分を好きでいたい、だれかに愛されたい、そんな思いを抱くのは仕方のないことであろう。

そんな苛酷な社会に負けじと懸命に生きていく、そんな主人公の生き様を描いた漫画「君に愛されて痛かった」を紹介していこうと思う。

*この漫画には暴力・性犯罪・いじめ等気分を害する表現がダイレクトにされています。
 鬱描写が苦手な方はこの先の閲覧をご遠慮ください。
























ここまでスクロールしてくださった方はこの先どんな表現でも受け付けるという強者だと信じ、執筆していこうと思う。

まずこの漫画の作者、「知るかバカうどん」様の紹介から始めようと思う。「知るかバカうどん」様は主に成人向けの漫画を執筆されている女性漫画家である。この方の漫画には成人向けとはいえ、とても過激な描写が多分に含まれていることで有名である。暴力、貧困、薬物、いじめ、誘拐、ホームレス、知的障碍者etc……

しかし、その作風はただ単に成人向けの漫画というわけではなく現実にある社会問題に真っ向から向き合っている漫画ばかりである。そのことから社会派エロ漫画家との異名を得るほどの人気度を誇っているのである。

知るかバカうどん様の漫画は非常に過激な表現が多く、社会のマイノリティ層に存在する問題に真っ向から立ち向かっている稀有な漫画家である。この方についての紹介はねとらぼエンタ様の対談記事に良くまとめられているため紹介したいと思う。

さて、本題の「君に愛されて痛かった」の紹介に入っていこうと思う。

*この紹介記事には「君に愛されて痛かった」のネタバレ、主に一巻のネタバレが多分に含まれます。ご了承ください。





この「君に愛されて痛かった」という漫画は主人公のかなえが最愛の人に刺殺されるまでの軌跡を描いた漫画となっている(一巻冒頭で刺殺されてます)。

まず主人公のかなえは女子高生。クラスの陽キャグループに所属しているがいまいち馴染めていない、そんな女の子。友達たちとカラオケ合コンにいってもブサメンの相手をさせられたり、ジュース運搬係を一人でやらされたり、LINEグループに招待してもらえなかったり。かなえは中学時代にいじめられていたこともあり陰キャグループに行くことを極度に恐れていてこの生活に甘んじている。家族にも愛されず、罵倒される毎日。そんなかなえのストレス発散は『援助交際』。お金が一番の目的じゃなく誰かに愛されることが目的。それがたとえ汚いおっさんでも。そんな誰かにやさしくされる、愛される(性的な意味ではなく)ことで生きててよかったと思える、でもそんな自分が大嫌い、そんな女の子。

この漫画はもちろんストーリーも魅力的だが一番は状況描写のリアリティである。上に書いたような描写を見開きで表現したり、またあふれ出しそうな感情を圧倒的な書き込みで表現したりと。これは是非書店で手に取って読んでいただきたい。1ページ1ページの情報量がかなり多く短いページ数でもとても重量感のある内容となっている。

ここまで紹介してきたがこの漫画の魅力は伝わっただろうか。この漫画は現在諸事情でネットでの配信を停止しているため購読したい場合は是非書店に赴いて購入していただきたい。購入する前に、この漫画は鬱、トラウマ、人間の醜さを存分に詰め込んだ漫画となっている。ご注意していただきたい。しかし、そんな漫画だからこそ人の心を救うこともあるのではないだろうか、私はそう思う。今人生がつらく誰かに共感してもらいたい、承認してほしいという方におすすめの一冊である。



引用


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