旧市庁舎売却
森友学園問題。
2016年、学校法人「森友学園」に大阪府豊中市の国有地が払い下げられました。不動産鑑定士が出した土地の評価額は9億5600万円でしたが、地下埋蔵物撤去費用の約8億円が差し引きかれ、1億3400万円で売却されました。
森友学園問題と同じようなことが横浜市、旧庁舎でも起きました。
林・前市長時代からすすめられていた旧市庁舎街区活用事業。その事業で、林・前市長、横浜市は、三井不動産を代表とするグループに旧市庁舎をは7667万5千円で売却、土地は77年の定期借地として年約2億1000万円で貸付するという予約契約をしていました。
建物は9億2000万円、土地は179億円の価値がある。
この契約内容がどれほど破格だったのか、太田正孝元市議と井上さくら市議、そして市民の方々が監査請求、住民訴訟をされたことにより判明しています。いくつか記させていただきます。
不当に安い・おかしいと指摘する理由①
2002 年 市会棟耐震補強工事等完了 12.5億円
2009 年 行政棟耐震補強工事等完了 50億円
旧市庁舎は約62.5億円かけて耐震補強工事が施され、その際の調査では工事によって約50年は使用可能と結論づけられていました。
不当に安い・おかしいと指摘する理由②
市が2019年度、１階の横浜銀行などの賃料を算出する際、旧市庁舎の建物評価額を約9億2500万円としていました。にも関わらず、売却するときは建物を7667万5千円という価格づけが行われました。
横浜市では1億円未満の売買契約は市会の議決が不要であり、7667万円という金額は、条例を悪用した価格だと思わざるを得ません。
不当に安い・おかしいと指摘する理由③
関内駅前の一等地であり、17066㎡の土地は2020年の評価額で179億円とされています。
契約期間は77年、権利金はなく、横浜市の保有が続くため、固定資産税も入りません。
土地評価額179億円から試算される固定資産税は1.75億円程度です。事業者の決定後に建物の高さ制限が75ｍから170ｍへと大幅に緩和されており、土地評価額はさらに上昇することが見込まれます。そんな土地を平米あたり月額1000円で貸してしまう契約で、年間約2.1億円の借地料だけしか入らないのです。
この林・前市長が予約契約していた旧庁舎の売却、土地の貸付契約に対し、2021年8月22日に立憲民主党と日本共産党の共闘により押し上げられた山中市長は「価格は妥当」と判断し、同年9月末、横浜市は上記の内容で本契約を締結してしまいました。
横浜市の旧庁舎と同様のことが千代田区でも起きていました。
東京都千代田区では、「東京ミッドタウン日比谷」の開発の際、区道を廃止して宅地に変更。その上に賃貸ビルを建設しました。そこを千代田区は三井不動産が他の企業などとともに設立した一般社団法人日比谷エリアマネジメント（エリマネ）に無償貸与し、同法人が多額の利益を得ているとして、2022年現在、地元住民が樋口高顕区長を訴えています。
旧市庁舎売却、激安貸付は始まりののろし？
山中竹春市長は選挙時、以下のことを公約に掲げています。
②の公約、「公有資産の貸付」というのは第2、第3の旧市庁舎の激安貸付契約を締結する恐れがあり、
④の道路上を民間に貸して維持管理費に充てる「歩行者利便増進道路制度」公民連携の推進というのはまさに千代田区ミッドタウンの事例です。
道路も建物も市民のもの、公共の財産です。
旧市庁舎売却、激安貸付の契約を締結した山中竹春市長です。
委員会などの様子を見ていると、横浜市は花博後の上瀬谷の土地を安い価格で企業に売却する恐れがあります。そして、山中市長の公約を見るとあらゆる公園、市民の財産を民間企業に差し出す可能性があります。
今後、山中市政の動向は注視していく必要があると考えます。
【参考】旧市庁舎の概要
旧市庁舎の概要
1959 (昭和 34)年 旧庁舎（7代目）竣工
1966 (昭和 41)年 市会3号棟を増築
1978 (昭和 53)年 市会2号棟を増築
2002 (平成 14)年 市会棟耐震補強工事 完了
2009 (平成 21)年 行政棟耐震補強工事 完了
2009 (平成 21)年 中庭棟を増築
旧市庁舎の耐震工事
市会棟 工事期間 2000年12月〜2002年7月
市会棟 工事金額 約12.5億円
内訳）
・建築工事 約8.7億円
・設備工事 約3.8億円
行政棟 工事期間 2007年2月～2009年4月
行政棟 工事金額 約50億円
内訳）
・行政棟免震化工事 約36億円
・中庭棟(電気室、自家発電)改修工事 約9億円
・トイレ及び給排水配管改修工事ほか約5億円
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