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三つの教え

祖母の教えは3か条
1. 資格を取るな
2. 公務員になるな
3. **人を信用するな

私は物心ついた頃から時々、祖母からこの言葉をささやきかけられ暗示にかかっていると思います。

祖母は満鉄勤務の祖父と満州国白城子に住んでいました。
祖父の兄は白城子駅前の富士屋ホテルを経営していて、祖母は手伝いをしていたようです。

敗戦後、祖父を満州の事務所火災で亡くした祖母は、女手一つで3人の娘を連れて引き上げてきました。
その壮絶な体験の中から発した言葉です。

当時は意味をよく理解できませんでしたが、人生の経験を積んでいくごとに、ことの重大さを理解するようになりました。

1 資格を取るな
一見、随分乱暴な意見のようですが、私の人生の根幹を支えています。
今の世の中、資格を持っている方が有利な場合があることは事実です。しかし、資格を持つとその資格にこだわってしまい、職業選択の自由がなくなるのです。

祖母に質問したことがあります。
「その資格が欲しいときはどうすればいいの?例えば裁判になって争うときは」と聞いたら、祖母は即答で「そのときは資格を持った人、弁護士を雇えばいいの」と言いました。

なるほど、自分で弁護するとなれば、自分の能力の範囲が限界になるのです。優秀な弁護士を探した方が効率が良いとの教えでした。
医者になれば自己診断ができないのと同じ理屈だったんです。

さらに深堀りすると、資格はある一定の条件をクリアすると取れてしまうものです。『資格を取ってしまうと、そのレベルのまま安心して勉強を続けなくなる』との理由からも『資格を取るな』の指導も理解できます。

2 公務員になるな
随分刺激的な言葉で、当時は理解できませんでした。
『公務員になることを否定するのではなく、自分に合った職種を見つけることが大切。また、私立企業やNPOなど、公務員以外にも多様な職業があることに注目するべきである。』との意見を聞くこともありましたが、祖母の意見の真意はそこにあるのではなく、「自由な発想で生きろ」ということだったのです。
公務員は前例に従うことが絶対条件なので、自分の自由な発想で仕事をすることができません。
横から母が口を挟んできました。「引き揚げの時、団体で集まっていると、公務員は引っ張り出されて皆んな殺されたんだよね。学校の先生だけは助けられたけど」と、衝撃的な意見も聞きました。

3 についてはコメントを控えます

祖母の教えからは「何事も自分で判断する力を持つことが大切だ」というメッセージが伝わってきますが、重要なことは「その時点で満足するな」ということだったのだと判断しています。

そのため、常に人と違う考え方はないかと考えています。
周りから『面倒臭いやつ』だと思われているでしょうが、任天堂が不渡を出した次の日に家庭用ゲーム機を作ることを提案したり、コンクリート二次製品業界に新しい工業会を作ったりして、みなさんのお役には立っていると思います。

お陰様で弁理士協会から表彰されましたが、日本の知財は未発達の状況にあります。

日本は知財立国宣言がなされて20年以上経過しているのに、滞留している知財がGDPの 1.5倍あると言われています。
原因と解決法を大体把握できたので、各種団体と打ち合わせ中です。

祖母の言に従い楽しい人生を送っています。

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