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犬の死亡届出書

老齢の犬が去年の夏から体調を崩し、冬を越すことはできないような状況だったが、できる限りの介護を続けてきた。

介護の甲斐もあってこの夏を迎えることができたが、さすがに体力の限界だったようだ。先ほど息を引き取った。

管理者に対して誓約書を書いて、譲り受けた保護犬だったが、犬と暮らす幸せな人生を16年以上経験させてくれた。
また、うちの家族が動物に対して優しく接しているのを見て、なお幸せを感じていた。

嘆いてばかりも居られないので事後処理の手続きを調べると、市役所に犬の死亡届出書の提出が必要らしい。犬の鑑札も同時に返却しろとも書いてある。

ちょうどお盆の中日に死んだのでお盆について考えてみた。

日本の仏教では死んだ人に対しては葬式を行い、お経を上げる習慣があるが、そもそもお経とは「生きている人間に、生き方を説いた」、お釈迦さまの教えなのだ。
死んだ人にいくらお経をあげても、死んでしまったのだから生き方を変えることはできない。
まして、犬にお経をあげても、「馬の耳に・・・」と同じだ。

弔いの心を込めて、盤渉調の「白柱』と「越天楽」を演奏してみた。
宮崎県の神漏岐山の鶯と同じように答えてくれると嬉しいのだが、死んだ後では何もならないという現実に思いを新たにしている。

『何事も生きているうちにやらなければ意味がない』ということを、犬の死を目前に実感している。




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