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犬肉

十数年前毛皮ブームが華やかだった。狐がもてはやされフォックスファーなる言葉が流行した。

うどん屋を経営していた友人が、引退を考慮に入れ住居隣接店舗を新築した。空き家になった旧店舗を賃貸することにした。中国人が中華料理店をやりたいというので条件設定をして貸すことにした。例に漏れず家賃を滞納したので集金に行ったそうだ。

集金に行った際に調理場の足元に冷凍肉が転がっていて、水が掛け流しになっている。                                   友「何してるの?不潔じゃない?」                     中「大丈夫、ちゃんと火を通すから」                    友「豚なの?」                              中「違うよ」                               友「牛なの?」                              中「違う」                                友「じゃなんの肉?」                           言いにくそうに。                             中「ワンワン。」                             友「犬か?なんでそんなもん使うんだ?」                  中「安いから、豚肉の5分の1」                      友「そんなことやめろよ」と言って家賃の集金してきたそうだ。

最近お気に入りの中華料理店の、酢豚の味が変わって気になっていたところだ。固くて黒くて少し異臭がする。中国ではフォックスファーブームの時に毛皮を取った残りの肉を廃棄せずに冷凍保存した。冷凍庫が満杯になってあふれているので市場に出てきたそうだ。狐は稀に使われたが、大量には存在しない。使われていたのはもちろん例に漏れず狐ではなく犬である。

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