バチカンで
バチカン博物館の入り口で驚いた。ギリシャ風の衣装を着た像が客を出迎えている。右手に剣を構えている。どう見ても不動明王だ。
空海が日本に持ち込んだとされる密教がある。密教の中に、優しく教えても気がつかない人のために、強面で強制的に悟らせる働きをする明王として不動明王がいる。ヒンズー教のシヴァ神がモデルと言われることもある。
仏教も発生以来大きな変遷を遂げて今に伝わっている。ブッダは人生とは何かを極めるべく出家をし、ついには『人生は苦である』と悟り、人々に教えを伝え始めた。あくまでも生きている人のための教えだ。
いつの頃か、葬式でお経をあげる仕組みができてしまった。死んだ人に対してお経は手遅れで、生きているうちに、生きて行くための指針として伝えられなければならない。お経の内容は時には死者に対する辱めになっている時さえある。
最近のウィルスの流行で大量の死者が出ても、危険性から葬儀もできない状況になってきた。TV CMで「どうして葬式に僧侶を呼ぶのですか?」というメッセージが流れていた。
人生のあり方、宗教観に対しても大きな転換期がきていると思われる。
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