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60年間ハマっています

当時、小学校6年生だった私は『絵はリズムだ』という言葉を読んで、衝撃を受けました。
私の脳の中にクッキリと大岡昇平の言葉と思い込まれています。

子供ながらに、絵は見るもので、リズムは音楽の一部として聴くものだと判断していました。

いくら考えても、絵と音楽は同列に考察するものではないと判断され、意味がよく理解できませんでした。

解決できない問題として、『絵はリズムだ』という言葉が常に頭の中にあり、他の作業をしている時に突然頭の中に『絵はリズムだ』という言葉が浮かび上がり、呆然としたことがあります。

中学に入り叔父がくれたギターを使い、音楽を始めればリズムがわかると勝手に思い込み、ギターの練習を始めました。

近くにギターの先生がいなくて、ギターも上達しなかったので、リズム論までは辿り着けませんでした。

高校に入り、レッスンレコードや、指導者に巡り合い、多少は上達しましたが、リズムに関しては不明のままでした。

結婚後、地元にジャズバンドがあり、それもビッグバンドだという情報が入ってきました。

「これだ!」と思いました。

ジャズはリズムが大事ですし、大勢でやれば、誰が間違っているのかすぐにわかります。
早速37歳で入会させていただきました。

案の定、バンドの足を引っ張る不良メンバーになってしまいました。
皆と、リズムが違っているのです。
何度も演奏を中断させてしまい、皆に迷惑ばかりかけていました。

自分なりに解決しようとして努力していたのですが、なかなか辿り着けませんでしたが、42歳のある日、譜面を眺めていると、気がついたのです。

多分音楽のリズムを理解したのだと思います。

雅楽は別として、西洋音楽は小節の区切りが同じで、『音符』と『休止符』で成り立っています。同じスピードで曲は進行していくのです。

演奏の下手な私は、音を出す音符ばかりを重視していました。
音程、強弱を間違わないように気をつけ、丁寧に演奏していました。

しかし、休止符を、軽んじていたのです。

なんとなく休んで、呼吸を整え(管楽器担当)丁寧に音を出すことだけをやっていたのです。

これを改めて、『休止符』も『音符』である、と考え直し、『休止符』ではなく、音を出さない『無音符』と解釈することに決めました。

頭の中で理解できたら、バンドでの演奏もうまく会うようになってきました。

次の日、絵画教室に出向き、絵を教えていただくことにしました。

初日に8号の油絵を指導いただいて、次回は、いきなり80号を描くように言われました。それを県展に出品すると、入線してしまいました。

音楽でリズムを確認したので、絵画のリズムが理解できたのだと思います。

音楽のリズムは、『音符』と、『無音符』の対比であり、絵画のリズムは『物』と『空間』の対比だと気がつきました。

よく見かける絵は、『物』にばかりこだわって、『空間』を無視しています。
私の音楽と同じレベルですね。

この『60年間しつこく同じテーマを考え続ける』ことにより、面白い脳の使い方を発見しました。

任天堂にファミコンの概念を持ち込んだり、道路側溝のがたつきを抑えた改良法を思いついたり、社会に大きく貢献しています。

新しい発想が、たくさん出てきますが、これに対応するシステムが世の中にはまだ完備されていないのです。

司法、行政は前例に基づくことが絶対なので、新しい発想を受け入れる準備ができていません。

『知財立国宣言』がなされて20年が経過しました。
現実には『知財立国』が実現できるシステムがないので、立ち往生しているのが現実です。

知財立国とは、『前例』と『創造』の対比なのです。
どちらも重要事項で、省くことができないのですが、現実は『前例』だけに比重が置かれているのです。

現在は、大岡昇平の全集やエッセイ等を買い集めていますが、コメントやエッセーは数が多く、探しようがないのです。

『絵はリズムだ』との原典を探しながら、知財立国の実現に向かって思考を凝らしています。

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