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少年よ大志を抱け

言葉は本当に難しい。言語は人間がお互いの意思疎通のためには必要欠くべからざる道具である。しかし、意思が正確に伝わっているかどうか疑わしい。意味を正確に伝達するには聞き手側が話者の主旨を理解していなければならない。しかし、それぞれの知識量には個人差がある。言葉の行き違いで様々なトラブルが発生している。餅が丸なのか四角なのかも地方によって差異が生じる。藤原道長が詠んだ歌のごとく ”この世をば我が世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば” 餅とは丸の意味だったのが生活習慣等の違いで四角い物も餅と言うようになった。関ヶ原が丸と四角の境界だと言われる。松本修氏の著書に『全国アホバカ文化考』がある。関西では人をののしる時に ”アホ” と言う、東京では ”バカ” と言う。餅ではないが ”アホ、バカ” の境界を調べたそうだ。明確な境界がなく”タワケ”が中部地方にあったそうだ。全く面白い研究である。私の友人が九州から中部地方に転居して就職した時に、就職2日目に先輩社員から ”タワケ” と罵られ、彼は「人生、生まれてこの方これほどまでに侮辱されたことはない。こちらが、死刑になってもいいから3人とも殺してやろう」と屋上に呼び出し殴り倒し、3人を病院送りにしたことは有名である。

William Smith Clark はあまりにも有名である。現北海道大学の前身札幌農学校で「 Boys, be ambitious 」と言うセリフを残し任期を全うせずに8ヶ月で帰国してしまった。native ならわかると思うけど、アメリカでは大学生は大人として扱われる。決して Boys とは呼ばれず Gentlemen と呼ばれる。それでは彼はなんと言ったのだろう。 多分、能書きばかり言ってちっとも指示に従わない学生を見限って、「てめーら大概にしろよ」が正解だと思うが「少年よ大志を抱け」は素敵な誤訳だと思う。

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