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「徳」ってなんだろう?

先日、ある公的な組織の重責にある方が来談されました。その方は「徳が欲しい」と仰られました。

私は、「あなたが欲する徳ってどんなものですか?」と尋ねました。

その方は、「人に信頼されるような何か。安心して他者が何でも話してくれるような人物が備えている何か」だと仰いました。

辞書的に言うなら、「身についた品性。社会的に価値のある性質。善や正義にしたがう人格的能力。」「広く他に影響を及ぼす望ましい態度。」などと出てきますが、その方の意に沿って「徳」というものを考えた時、私の仏法の師や、カウンセリングの師の姿が思い浮かんできました。

でも私は、今までその師の姿や態度に触れて、確かに何かを感じるものの、それが何なのかを、なかなか言語化できずにいました。

どんな人に相談したくなるか。サイコロジストの研究を参考にしてみましょう。

マスターセラピストの特徴

他の心理臨床家から尊敬され、「自分がセラピーを受けるなら頼みたい。」、「大切な人がセラピーを必要としている時に紹介したい。」と思う優れた臨床家でる〈マスターセラピスト〉の研究があります。

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【認知的特徴】

◉複雑な曖昧さを歓迎する
◉蓄積された知恵によって導かれる
◉飽くことなき好奇心
◉人間であることへの深い理解
◉貪欲に学ぶ

【感情的特徴】

◉深い自己受容
◉純粋に謙虚
◉自己への気づき
◉成長への強い意志
◉生の情熱をもって楽しむ
◉秘めた強さ
◉活気に満ちている

【感的的特徴】

◉他者と深く関わる
◉鋭い対人的知覚と観察力
◉細やかな倫理的感覚
◉寛容であるが境界は明確である
◉人生のフィードバック歓迎するオープンさ

皆さん自身が尊敬する人、信頼できる人を思い浮かべるとイメージしやすいかと思います。

物事を固定的に見ず、好奇心旺盛で、自己を信頼しており、純粋で謙虚。遊び心があり、いつも活気に満ちている。他者と深く関わり、そのフィードバックを歓迎する。

そんな人のまわりには、いつも人が集まっていますね。

「得」しようとしても「徳」は得られず

でもこれは、目指すものではなく、あくまでも自身の仕事や人生を通しての、長い実践と経験を経て、その結果として現れているものでしょう。そう振る舞おうとして、すぐになれるものではありませんよね。

徳は自力で努力して詰むものでなく、何かに真摯に取り組み、日々精進している人が知らず知らず〈おまけ〉のように備わっていくもの。そんな風に感じています。

「おまけが欲しいからって、グリコのおまけだけは買えないようなもんだ」という喩えで言われてきたことですね。(ちょっと違うかな)

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