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はじめましてと旧ボトル

はじめまして、きょーこです。
ウイスキーをメインに扱う、池袋ジェイズバーで務めています。

ジェイズバーでの企画を機会に、noteを始めてみました。今後もちまちまと更新していく予定ですので、お付き合い頂けましたら幸いです。

一息おいて

2019年、当時フリーターだった25歳の私は「ウイスキー」に出会いました。

元来オタク気質を備えた酒飲みが、その魅惑的な琥珀色の液体にのめり込むのには時間は必要ありませんでした。

様々なウイスキーやそれを嗜む方々に触れ、所有欲が生まれ始め、安価で入手できるオールドブレンデッドを集め始めたのがその年の夏。

はじめてジェイズバーの扉を開いたのは、それから少しして肌寒くなった頃のこと。
気がつけば今年の5月で勤続3年になります。

池袋ジェイズバー マスター蓮村さんは人情に厚く、それでいて、いるからこそ、魅力的独創的なマーケティングを行う戦略家でもあります。

2023年3月現在、ジェイズバーでは蓮村さんの生み出したいくつかの企画が行われています。
個人では購入の難しい高額ボトルを採算度外視で提供する「情熱価格」、
ビッグビンテージと名高い1996年蒸留ベンネビスのシングルカスクを計34本、数ヶ月にわたり提供する「96ネビス祭」など。

その中のひとつに「9がつく日の旧ボトル」があります。
現行リリースをメインに取り扱い、ボトルの回転も早いジェイズバーには古いボトリングのものは多くありません。
そんな穴をすぽりと埋める、ひとつきに3度訪れる9がつく日に幾年か前のリリースのボトルを開栓する企画です。

今月、2023年3月の「9がつく日の旧ボトル」にて、私個人が所有していたオールドボトルを3本提供させ頂くことになりました。

開栓ボトルは以下3本です。

右からBALLANTINES PURITY、WHITE&MACKAY、 SPEYSIDE 

3/9 WHITE&MACKAY 21年
3/19 BALLANTINES PURITY
3/29 SPEYSIDE 12年

検索にかけたらすぐに先人方によるボトルの説明、考察を閲覧できると思いますので、3本のあらましについてはほんの少しだけ触れます。
その前に少しだけ私のウイスキーの楽しみ方についてお話しさせて下さい。

私はウイスキーが好きです。愛情を持っています。
そんな私が一番魅力的に思っている部分は「ストーリー」です。

どんなボトル一本、グラスに注がれた一杯の後ろには必ずストーリーがあります。

いつどんな時に醸造蒸留されボトリングされたのか?
どんな人が、企業が製造したのか?時代背景は?
どういった経緯で今自分の目の前にその液体があるのか?
あげ始めたらキリがありません。

香りたち、味わいはそれを象徴しています。
麦を感じ、樽のエッセンスをひろい、熟成年数、環境の影響による違いを受け、ノージングからフィニッシュまでの流れは、まるでひとつの物語のようです。
たったの一杯からも多くのストーリーに想いを馳せられるロマンのお酒、ウイスキー。

私はウイスキーという無限の世界を、ジグゾーパズルに例え考えています。
グラス一杯のウイスキーを、欠けてはならない大切な1ピースとし、ひたすらピースを集め、何もない無限の白紙に手探りでおいていく。
情報や知識を手がかりとし、ここだと思うところにピースがはまる。そうかと思えば、別のピースとのうまく噛み合わず手元に戻る。手元のピースがポロポロ溢れ落ち見失うこともある。

そんな遅々とした過程で、たまに一歩後ろに下がるとぼんやりと絵が見えてくる。

完成することのない一枚の絵物語。
私だけのウイスキーの世界を、ストーリーを描いていく過程が、楽しくて仕方ないのです。

今回提供する3本のボトルは私の手元にある大切なピースでもあります。
それを皆様と分かち合えること、楽しんでいただけることが本当に嬉しいです。

よろしければ、ボトルをあいだに、分かち合い語り、私の絵物語のピースをはめる手助けをして頂けたらと思います。



ボトル紹介

WHITE&MACKAY

3/9 開栓ボトルは、WHITE&MACKAY 21年。
金色のプレートが目を引くこちらは1980年代流通のものです。当時、ラグジュアリー(本当にそうかはは別として)なボトルデザインは贈答用としての需要も高く多くみられました。
少なく見積もっても60年代原酒。近年とは異なるシェリー香と、馴染んだカラメルが楽しめる一本だと予測しております。

BALLANTINES PURITY

3/19 開栓ボトルは、BALLANTINES PURITY。雫形のボトルが美しい、バランタインブランドのグレーン抜きボトル。1990年代後半から2005年までの間に免税店向けにリリースされた20年ものです。いまはなき「魔法の7柱」が健在のころの仕込みでしょうか。モルト由来の華やかさ、フルーティーさはもちろん、ブレンデッドモルトだからこそなせる多様な香味を期待しています。

Speyside

3/29 開栓ボトルはSPEYSIDE 12年。
1980年代初めの流通のこちらのボトル、ご存知ない方も多いかと思います。スペイサイド・ディスティラリー社が、スペイサイド蒸留所を稼働する1990年12月の前段階で、資金集めの意味合いもあったのでしょうか、製造リリースしたブレンデッドウイスキーです。
原酒構成は完全不明。香味やバックグラウンドを、自由に語らうにはもってこいのウイスキーではないでしょうか。


皆様と分かち合いたい、そんな気持ちで上記3本を選びました。
いつものジェイズバーとは少し違う、今月の「9がつく日の旧ボトル」是非お楽しみ下さい!

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