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最低賃金1,500円の経済効果

最低賃金を 全国一律で1,500円に
引き上げ、
すべての労働者の時給を1,500円以上にすると
その経済波及効果により この国は
もっと豊かで、子どもたちの明るい声が絶えない
希望に満ちた国に生まれ変わります。
今回は その根拠について
学んだことを書いていきます。
ぜひ読んでみてください。

◆最賃運動に対するモヤモヤ


これまで年に数回「全国一律最低賃金制を求める
中央行動」に参加してきました。
2020年からのコロナ禍では、リアルに結集するが困難に。
やむを得ず リモートで
各地域をつないでの活動。
最初の頃は 
【集まり話し合うこと】が
労働組合の活動であるのに 
それができない中
どのように運動を継続していくか。
いろいろ試行錯誤があり、
ネットの扱いも皆 不慣れで
最初の頃は
音声が届かなかったり 
映らなかったり。

でも そんなたいへんな
状況があったからこそ、
今日の労組活動の【できることが
ひろがり 可能性を開く】
自信につながったのだと思います。

わたし自身も コロナ禍は 
不便と不安はあっても
Webを通じ、たくさんの気づきと
学びを得て 
大きな成長と進化があったと
感じています。

しかし、あることがきっかけで
わたしは 正直 労働組合の
最低賃金を大幅に引き上げ、
全国一律にする
運動に 少なからず
不信感を抱いていました。

それは、わたしたち労働組合の
上部団体が行う記者会見を
ネットで観た人たちの
批判や 誹謗中傷をYouTubeで
目にしたから。

映し出されたのは、
よく知った顔ぶれと
地方のなかま。
それを見ながら、
ネット発信者のことば
「このひとたちは いったい何を言っているんだ?
こんなことをしたら、
企業がつぶれて
自分たちの 仕事がなくなるだろう!」
ほかのチャンネルでも、
有名なインフルエンサーが
「人件費なんて経費にお金がかかれば
みんな機械化しちゃうよ!
結局は自分たちの首を絞めるだけ。」
「韓国を見てごらんよ。最低賃金を
大幅に引き上げた結果、大量に
失業者が出たじゃないか。」

わたしには これが、冷ややかな
世間一般の
ひとたちの反応のように映りました。

え?わたしたちのやっていることは
間違いなのかな?
ネット発信者の言うように、
わたしたちは
ほしい ほしいと自分たちのことしか
考えていないと思われてる?

それ以来、なんだか気持ちが
怯んでしまい
モヤモヤと 行動する意義が
わからなくなってしまったのです。

でも、今は違います。
最低賃金の引き上げは 
新たな雇用を生み
大きな経済波及効果を
この国にもたらすと、
揺るぎない信念と
希望を持って 活動できるように
なりました。

◆最賃引き上げ 韓国の場合


昨年、わたしが所属する労働組合の
上部団体主催の学習会で 
新聞社の社会部専門記者の方の
講演があり 
わたしもリモートで参加しました。
わたしのノートには
「わたしたちの声を聴かずに
わたしたちの賃金を決めるな!
目を開くきっかけになる記者会見」
「スピーカー代わりに
メディアを使え」と
走り書きのメモが残っています。

その時の 質疑応答で、
「最低賃金を引き上げることで 
失業率が高くなる
ことはないのですか?」と 
わたしと同じ
思いを発言された仲間がいました。
それに対し、講師の方は
首をかしげ 「最賃が上がって失業率が上がったなんて
論文はどこにもないけど?」と答えられたので
えっ、そうなの!あれ、韓国は・・・?

調べてみると、韓国は 
第19代大統領 文・在寅(ムン・ジェイン)氏が
公約に「最賃1万ウォン」を
掲げた影響で
2018年16.4% 2019年10.9%と
2年で約30%もの賃金が
上がりました。
確かに2018年に
大幅な最賃引き上げがあった
直後には、失業率の上昇が注目されて
大きな悪影響を与えているように
報道されました。

でも韓国では毎年 第1四半期の失業率が跳ね上がり
年末に向けて落ち着く
傾向があるようで
特別なことではなく この2年で失業率が上がったわけでも 
失業者が増えたわけでもない。

結局、日本のマスコミは
引き上げ後の騒動は
取り上げたけど、
すぐに落ち着いた事実を
報道しなかったということです。

わたしも『最低賃金を引き上げたら、
韓国の二の舞になるぞ』という意見を
鵜呑みにしていたひとりでした。

かくして2022年韓国の最低賃金は、990円。
ただし韓国には週休手当という
有給休暇制度があり、
実際には その影響で
もっと違ってくるようです。
昨年 はじめて加重平均961円で
日本が韓国に抜かされた!と。 
それを 恥と捉える
議員さんもいますが、
全国一律になっていない 日本の最低10県は 853円ですから。
比べようのない大きな開きです。

◆くつがえされた常識


もう一つ、従来の主流派
マクロ経済学のもとでは
最低賃金の引き上げは
失業率を上昇させ、
雇用を縮減するものとして
捉えらえてきました。

それが世間で 長らく正しいものと
浸透した結果
「自分の首を絞めるだけ。」と
嘲笑されて
広く賛同を得られない原因だったと思います。

ところが、2021年ノーベル経済学賞を受賞した
デヴィッド・カード氏らの研究が 
これを覆しました。
「労働者の最低賃金を
引き上げた場合に
負担が増した企業は雇用を
減らすはずだと
されていた常識が、
必ずしも正しくないことを
自然実験の手法を用いて実証」
したことが評価されたのです。

D・カード氏によって、
最低賃金の上昇は
雇用を減少させないことが
明らかになりました。

現に 研究機関である一般法人
労働運動総合研究所(労働総研)が、今年2月に公表した
「最低賃金が全国一律
1,500円になったら生活は
どう変化し、
経済はどう変わるか」の
まとめによると、

全国では時給1,500円未満で働く
労働者は全労働者の
49.8%の2823万人。
このすべての労働者を
時給1,500円にするには、16.1兆円の原資が必要ですが、
引き上げた結果 一人あたり
平均月2万3,632円の賃上げとなり、
新たな雇用に106.6万人分創出
することができます。
結果、GDPを1.9%押し上げ
国や地方の税収は2兆円以上増加させることができると試算されています。

なんという経済波及効果でしょう!

全国どこで暮らしていても 
1,500円の最低賃金が
実現すれば、
時給で働く非正規雇用
労働者だけでなく
労働者全体の賃金底上げと
消費購買力向上による日本経済の好循環をも生み出すことに
繋がっていくということです。

未だ 政府は「異次元の少子化対策」と言いつつ、
その財源のために 新たな税収をもくろみ 
貧しい国民からさらにお金を
絞り取ろうと躍起になっています。

ですが、最低賃金を大幅に上げることで得られる 
これだけの税収があれば
子どもたちのために、
これからの 若い世代のために
出来ることは いろいろある
はずです。

あとは 支払い能力を言い訳にさせないよう、
【最低賃金法】を改正し
政府が しっかりと
中小、零細企業を支援すれば
いいだけ。

◆カギを握る中小企業支援策


現行法では 最低賃金額を決める3要素として
「その地域の労働者の
①生計費と
②賃金、そして
③事業の支払い能力」があります。

この「事業の支払い能力」が
決定要素にあるかぎり、
経営がくるしい企業が優先され
最低賃金を低いままに
放置しておくことを
厚労省が許してきたのです。
「事業の支払い能力」は、そのまま
いつまでも縮まらない
地域間格差となり、
一向に改善されません。

日本の企業の99.7%が 
中小零細企業であり
労働者の約70%が中小企業で
働いています。
中小企業は、賃金を大幅に
引き上げるだけの
体力を持ち合わせていない。
でも、地方の経済を支える主役は まちがいなく
これらの中小企業・小規模事業者。

地域間格差をなくし、
全国一律最低賃金制にするために

最低賃金の大幅引き上げに対応できる
時別な支援策と財政措置が必要です。

全労連と国民春闘共闘委員会は、
法改正により、最低賃金額を決める
3要素から
「事業の支払い能力」を削除すると
同時に
中小企業へ助成金の支給や 社会保障の減免などの
時別な支援をもとめています。

もちろん その傘下にいる
わたしたちの
労働組合でも 要請署名に取り組み、
わたしも 自信をもって
声を大に アツく署名の
呼び掛けを自分の職場でしていきます。

◆最後に


最低賃金制度を変えるという
決断を行うのは、政治であり
わたしたちが願いを託すのは
国会議員・政党です。

この間、地域間格差を広げている
最賃制度の改正を求める声は
労働者のみならず、
地方の議員も一緒で
いまや国政選挙のたびに
最賃1,500円や 最低賃金の改善を
公約にかかげる政党が
増えてきました。

2019年に自民党から「最低賃金
一元化
推進議員連盟」が立ち上がり、
立憲民主党に「最低賃金プロジェクト
チーム」が出来て、
超党派で取り組もうという動きに
広がりを見せています。

もっともっと国会議員を巻き込み
法案の実現を ワクワクしながら、
自分のまわりに 理解と賛同を
得られるよう活動していきます。

以上になります。

最後まで おつきあいくださり
ありがとうございました。

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