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Jiniが考える2019年のGOTY

2020年も暮れという今更になって、どうして2019年のゲームを振り返ろうとしているのか?キーボードをこうして叩く私自身でさえ頭を抱えた。2020年には語るべきゲームがたくさんある、なのに何故今から2019年を振り返るのか。

ひとえにそれは、2019年があまりにも豊かだったからだ。

2019年は、総合的に見れば2010年代で最高の年になりえる、最も豊かな1年だった。故に、私は狼狽し、気づけば2019年の末から今日までずっと「2019年における最高のゲームとは何か?」という問いから逃げ続けてきたのだ。。


10位:Baba Is You

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既に10位の作品を決める段階で、私は多くのゲームを1つ、そしてまた1つと棄ててきたことを、認めなければいけない。この10位は本ランキングでは最下位に見えるが、私の中ではむしろ2019年の中では上位、既に数十本の中での10位だということは念頭に入れてほしい。

平凡なパズルゲームは元々好きではない。古いアドベンチャーゲームのポイント&クリックで、何もない空間でひたすら鍵を探すなんて本当にバカげていると思ったし、もちろん面白いパズルゲームは多々あったけれど、一つの正解を長考して、或いは全部試して探し出すタイプのパズルは面白くない。

『Baba is You』は言葉を繋げてルールを変えてしまうという発想だけでも優れていたが、何よりもパズルゲームでここまで応用の利くゲームデザインが可能であることが何より衝撃的だった。言葉といっても原則は論理学の応用であり、むしろ一般的な言葉やゲームの概念がすべてミスリードに自分から陥ってしまうのも、どちらかといえばパズルゲームのアンチテーゼ的である。


9位:十三機兵防衛圏

『十三機兵防衛圏』は私にとって完全に「死角」だったし、プレイした現在もなお「死角」であり続けていることは素直に認める。

この作品は、神谷盛治という熟達のゲームクリエイターが自身の信頼する精鋭のアーティストたちと共に組織した、ヴァニラウェアという一種の「工房」が作り上げた、彼らなりの到達点であることは、既に数々の批評において論じられた通りだ。

テクノロジーの進歩と共に立体的な空間でゲームデザインを張り付けていくことが常識となった時代で、彼らは常に平面で描くビデオゲームの限界に挑戦し続けていて、特に筆者にとっては『朧村正』などが名作として記憶に残っている。しかし『十三機兵防衛圏』はその規模からして別格で、13人の主人公たちの群像劇となる物語を、過去、現在、未来の時間軸で、かつ断片的に描いてプレイヤーに解読させる……。それだけでも狂気的なものを、あえてテキストではなく平面で機能するスクリプトとアニメで「やる」。

およそ常人にできる仕事ではない。神谷そして職人たちもまた、80~90年代のSFやアニメといったカルチャーに圧倒されて今この傑作を紡いでいる。同時にその時代のカルチャーが比較的、映画や音楽といったメインよりのカルチャーを重視してきた私にとっての「死角」があった。


8位:Haven's Vault

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