テレビゲーム総選挙に見る、日本ゲームの「消費文化」の衰退
テレビ朝日系の特別番組「国民5万人がガチ投票!テレビゲーム総選挙」が12月27日に放送された。これは視聴者のアンケート(投票)をもとに100本のゲームのランキングを作るというもので、結果は以下のようになっていた。
SNSやメディアで「率直に」盛り上がっているその真っ最中、私はこれをどう解釈するべきか、大いに頭を悩ませていた。
本音を話すと、正直思ったより良いランキングだと思う。トップ10だけ見ても、少なくとも10本のうち8本は確かになと納得した。やっぱり日本には良いゲームがたくさんあるんだなと素直に実感する。
言い換えると、2本。10本のうち2本だけ、どうにも煮え切らない気持ちになる。作品それ自体は素晴らしいのだが、この100本並んだランキングを眺めたうえで、作品に投票した人々の心理を鑑みると、日本ゲーム文化の落差を見ているような気分になるのだ。
繰り返すようにランキングには納得している。
ただこのランキングは間違いなく、こういうテレビ番組で取ったアンケートに基づくものらしいな、と思う。トートロジーに聞こえたかも知れないけど、やっぱり「テレビ視聴者の平均」であって「ゲーマーの平均」ではないと思うし、それだけに日本の一般大衆のゲーム観が出ている。それは良い意味でも悪い意味でも、偏っていると言っていいだろう。
わかりやすい点では、世代、ジャンル、地域、企業の偏りなんかは、すごい独特だと思う。世代で言えば、90年前後と最新のゲーム、ジャンルはそりゃもうRPG、地域は全部日本、そして企業は任天堂、スクウェア、エニックス。実際、歴代シリーズの売上を見ていればそりゃそうだし、日本のゲームしかないのは、そりゃ日本でアンケート取ってるわけで。
何よりテレビ視聴者の平均年齢を考えると、さもありなん、という納得感が強い。テレビの視聴者層は10代~40代で減少傾向にあり、中心はほとんどM3、F3層(=50代以降)に移ってる。平均年齢でもせいぜい40代がベースにあるわけで、まさに国産ゲーム黄金期(1980~2000年)をばっちり愉しみながらも、大人になってゲームを卒業する頃にグローバル化が進んで国産市場が衰退していく(2000年~)と、ある意味、一番おいしくゲームを召し上がれる人たちが視聴層の平均だ。
こういう言い方をすると、いかにもケチをつけたいのだなと思われるだろうが、実のところ……そうでもない。むしろ「2本」を除いて、上位10本には納得さえしている。
まず上位に食い込んできた『DQ5』『FF7』に関しては、実際のところ筆者でさえ普通に好きだし、もちろん楽しんだ。『DQ5』は海外のRPGに日本的なイマジネーションを注いだメディアミックスの頂といえる作品で、『FF7』に関してはテクニカルからアートまでゲーム主体でのメディアミックスを実現した作品としてもすごい。今遊んでも十分素晴らしい作品だと思う。『DQ3』や『クロノトリガー』はその上でもよい気がしたが、脱線するので省略。
JRPGは、実にドメスティックなジャンルで、競争に晒されないが故に惰性気味だと捉える向きもあるけれど、逆に言えば時代や国境に囚われない個性がある。もちろん、アトラスRPGや『MOTHER 2』も同様に。
それこそ最近筆者は、WiiUバーチャルコンソールで『MOTHER 2』を再訪したのだが、ターンベースRPGのゲームデザインは正直今遊ぶと面白いとは感じにくいが、逆に言えばテキストやイメージを組み合わせた重層的なエンタメになっていて、これらの表現部分が劣化しないな、ということ。
同様の理由ですごいのは、当然というべきか任天堂作品だ。『あつまれ どうぶつの森』は最新作故のヒットだろうけど、64時代から蓄積されたコミュニケーションゲームの普遍性がずっと進化し続けた成果と見れば必然的なヒットだ。あれほど緩やかに、何かに駆り立てられることがないゲームは今も全くといっていいほどない。
『大乱闘スマッシュブラザーズSP』は任天堂というか桜井政博がすごいゲームだが、マーベルユニバースがなんぼのもんじゃいという狂気のクロスオーバーで、しかも面白い。そりゃトップ10にも入るよね。『スーパーマリオ』は『3』ってのもいい。同じ2Dマリオなら『ワールド』も捨てがたいが、『3』こそ傑作と言いたくなるのもわかる。
ここからが問題の話。
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