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社内オンプレのチャットサーバを立てから1ヶ月ちょい経った所感

この記事は【初心者優先枠】corp-engr 情シスSlack(コーポレートエンジニア x 情シス)#2 Advent Calendar 2020の21日目です。
https://adventar.org/calendars/5391

あらすじ

いずみやは非IT企業で働く新人情シス.一人前になるべく,日々鍛錬に勤しんでいる.そんな彼の会社を,ある日疫病が襲った.
「新型コロナだ!在宅勤務だ!コミュニケーションが取れない!でも受注も減ってお金もない!」
そんな中,OSSのチャットサーバー(Rocket Chat)を全社展開せよ!との命が下る.よりにもよって,情シス1年目のいずみやに.

上司「だって俺,Linux 使えないし!」

ワイ「正気か?」

こうして,いずみやの長い戦いの火ぶたが切られたのであった.

※強い脚色が入っています
※本人はそれなりに楽しんでこの課題に向き合っています

この記事は,非IT企業に社内チャットを入れるまで,そして入れてから一月経ってどのような変化があったのかが書かれています.この文章を読んで,非IT企業の方がDXに踏み出す勇気を持ってくれたら幸いです.

Who is いずみや?

はじめまして.和泉屋と申します.
今年度からある非IT企業の情シスに異動しました.理由は一人情シスである上司の高齢化に伴う跡継ぎ育成のためです.このまま上司が定年しても一人情シスとなるのを避けるのが人生の課題です.
ちなみに趣味でギター習ってます.音楽 is むつかしい.

社内チャット導入前の世界

新型コロナウイルスによって,弊社ももれなく対応に追われました.なし崩し的に開始された在宅勤務,ITリテラシー貧困層への急増するITヘルプデスク(介護)対応,そして減っていく受注に伴う経理部門からの経費の締め付け.
在宅勤務を始めると同時に,いくつかの問題が明らかになりました.主なものを挙げると,「その人の出勤状況が不明」「在宅勤務の相手への連絡手段はメールしかない」の二つです.また,全社的に受注が下がっていることから,有料のビジネスチャットサービスを契約したくない,というのもありました.

Rocket Chat との出会い

そんな中,社内システム開発部門ではチーム内のプライベートチャット.「Rocket Chat」を運用開始しました.サーバーを社内に立てれば無料で使えて,SlackのようにモダンなUIを備えたチャットシステム.

「これだ!」

在宅勤務で連絡コストがものすごく高くなっていたため,私は Rocket Chat のことを上司に報告してみました.ぜひ導入してみませんか?と.

最初は「そうねぇ…」程度の反応でしたが,他部署から寄せられる「連絡手段をなんとかしてほしい」という要望に,ついに上司から私に命令が下りました.

「いずみやくん,その Rocket Chat を全社で導入しよう!」

思わぬ敵

新しくチャットシステムを導入しても,使ってくれる人がいなければ広まりません.「連絡手段をなんとかしてほしい」といっても,別にチャットを入れてほしいと思っている訳ではありません.だから,まずは試験的に導入してもらえる部署を作り,そこから和を広げていく必要があります.

しかし,古い企業には多くの場合「今の業務方法を変化させたくない」という体質があります.そして弊社は創業50年を超える老舗企業です.そのため,弊社にもそういう「今の業務方法を変化させたくない」と考える人が少なくありません.

そこで,味方を増やそうと思いました.味方を増やそうと思ったとき,まず一番先に思いつくのは同期です.私は,昨年まで同じ部署だった同期に相談してみました.

「なぁ同期,そういえば,会社にチャット入れようかなーって思っててさ」
「はぁ?メールでよくね?工数の無駄じゃん.何無駄なことしてんだ?」

お前も敵だったのか・・・!!!!!!

味方を作れ

思わぬ人物が敵だったことが判明したので,ターゲットを切り替えました.人には人の考えがあるし,わざわざ変えるほどの労力があったら別の協力者を見繕うほうがスムーズに行くことが多いのです.
ということで,社内のIT環境に不満をいだいている人を探します.弊社はトップダウン気質なので,できればなるべく偉い人.

ということで,理事の中でIT環境に不満を抱いている人を探しました.これがドンピシャで当てはまります.

IT改善委員会の発足

IT環境に不満を漏らしている理事に,社内チャットを提案しました.

「理事は,LINEとかお使いではないですか?ああいったチャットシステムを社内で導入したら,間違いなく業務効率が上がると思うんです.無料で使えるチャットシステムがあって,弊社でも運用できそうなんです.でも,誰も賛同してくれなくて…」

理事の目が輝いたように見えました.元々IT環境に不満を持っていたこともあり,賛同してくれたのです.彼は自分の管理下の部署でチャットシステムを試験導入してくれることを約束してくれました.なんと心強い!

なお,そのまま話が盛り上がって「IT改善委員会」なるものが発足し,気づけば初期メンバーに名を連ねていたのは別のお話.

社内チャット導入後の世界

(Rocket Chat の導入方法についてはあまり触れません.調べればいくらでも見つかるからです.私の目的は,非IT企業の情シスの皆さんにDXに踏み出す勇気を得てもらうことですから.一つだけアドバイスをするなら,導入 OS は Ubuntu をおすすめします.)

社内チャット導入後は,ほんの少しだけ世界が変わりました.

現在,利用割合は大体25%くらいの社員が利用しています.
このうち何人かは,メールではなくチャットでITの問い合わせをするようになりました.その結果,やり取りのスピードが尋常じゃなく早くなり,かつ同じ質問に二度答える必要がなくなりました.これはめちゃくちゃ助かります.
しかも,たまに情シスではなく別の部署の方が「これはこうだよ」「マニュアルに書いてあるよ」と指摘してくれるようになりました.正直,これだけで報われた気持ちになりました.

次に,当たり前ですがコミュニケーションコストがものすごく下がりました.特に相手の状況や居場所がわかるようになって,相手に話しかけてもいいのかどうかがわかったり,内線をかけずに済む(=周囲の人の集中力を削がなくて良くなる)ケースが多くなりました.これで相手の内線番号を探す直前に行っていた業務の内容を忘れることもなくなります.

他に,これまでなかなかコミュニケーションを取らなかった人とコミュニケーションをとるようになりました.これはいい面もあれば悪い面(教えて君の扱いが面倒など)もありますが,総じていい面が上回っていると思います.特に偉い人(例の理事など)に気軽に相談できるようになったのは,すごく幸せなことだなぁと思っています.

所感

非IT企業に社内チャットを導入しても,一か月では劇的に世界が変わるわけではありませんでした.
でも,使ってくれる人は使ってくれるし,それで少しずつでも「会社が良くなっていってるな」と思える瞬間があるので,私としては導入できてよかったな,と思いました.(人間関係は相当苦労しましたが)

現在はまだまだユーザー数が少ないので,これから増やしていくために様々な施策を打っていくつもりです.このままでは,導入による仕事効率化の効果よりも導入コストのほうが上回りかねませんからね.

最後に,この記事を読んで,非IT企業の情シスの方がDXする一歩を踏み出す勇気につながれば幸いです.
長々とありがとうございました!


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