書評 "Hard Things"

これほど自分にとってタイムリーな書籍があっただろうか。

自分はいま、経営する会社(sonraku)が大きな分岐点に差し掛かっていると感じている。これまでの個人商店から、社会の公器へと脱皮していく過程を経ている。これまでは、自分が思うままに、フラフラと新規事業に手を伸ばし、コンサルでなんとか利益を出し、組織の体制や社員の教育に力を入れてこなかった。

自立、という言葉が僕を蝕んでいた。自立してくれたらいい、という思いはあったものの、具体的な行動はできていなかった。むしろ、枠組みが嫌い、ダメ出しが嫌いで、自由な空気で、いいところを伸ばそうというざっくりとした思想のもとで、特段引っ張ってくることをしてこなかった。

本書は、それとはまるで違う。カール・マルクスの「人生は苦闘だ」という名言を紹介しながら、CEOの苦闘を語る。多くのビジネス本が成功のハウツーを書くならば、この本は、物事がうまくいかなくなるときのことを書く。

もっとも参考になったことは、会社の成長と組織化(管理、ルールを明確にすること)のタイミングに関する表現だ。会社が成長すれば組織化は必須だが、成長よりも組織化が早ければ官僚主義的になり、組織化が遅ければ破滅するということ。

最初にタイムリーと書いたのはまさにこれで、sonrakuは完全に組織化が遅れている。ある意味、破滅という形は見せていないものの、亡霊という形で生き延びていると見た。組織化無くして今後の成長なし。とはいえ行き過ぎて官僚主義的にはならず、同時にここから成長も遂げなければならない。社会の公器となるために。

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