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プレジデント・オンラインに、著書『崩れる政治を立て直す』をめぐる西田亮介先生との対談が掲載されました。

プレジデント・オンラインに「日本の官僚が"不祥事リーク"を始めた背景
官僚にある『面従腹背』の精神構造」が掲載されました。これは著書『崩れる政治を立て直す 21世紀の日本行政改革論』(講談社現代新書、2019年)について、西田亮介からコメントを頂きながら、現状の政と官の関係について論じたものです。

昨年の森友・加計学園問題、裁量労働法制の厚生労働省のデータミス、入国管理法改正案での法務省のデータミスに続いて、今は統計不正が官邸主導の歪みの一例と見られています。政と官の関係が常に政治問題となっている現在の状況下で、官邸主導と行政改革の流れに潜む問題を取り上げた著書を再訪できたのは、大変ありがたいことでした。

この本を書いたときには、これからの政治・行政を担う若い世代の人たちに読んで頂ければと強く思っていました。今後登場するであろう改革の課題やそこに横たわる障害を早い内に明らかにして、これから何をしなければいけないのか考えるきっかけになればと思っています。その点で、西田先生のような若手で政治を研究・分析されている方にコメントをいただけたのは大変嬉しい限りです。

対談の冒頭、西田先生から

【西田】この本を読んでユニークさを感じたのは、前作『「安倍一強」の謎』で分析されたテーマを踏まえながら、一般的な政治学の手法にとどまらない試論や視点を数多く取り入れていることでした。とりわけ本書の骨子となっている「作動学」という概念は、近年の政権のあり方を分析する上でとても面白い視点ですね。

というコメントを頂きました。

また社会学者ならではの視点で、初期のニクラス・ルーマンの議論を引用した箇所にもしっかりご指摘頂いています。

【西田】だからこそ、官僚のモチベーションをどのように引き出すか、言い換えれば政策の「作動」「不作動」について、あらかじめ議論しておかなければならない、しかし当の行政システム自体は十分に変化に対応できておらず、官僚も変化を適切に認識できていないかもしれないというわけですね。もうひとつですが、「作動学」の理論的な基礎として、ドイツの社会学者ニクラス・ルーマンの言葉を挙げられている点にも目を惹かれました。初期の頃は行政学者でもあったルーマンが「行政改革は行政の自己改革能力の改革」と指摘している、というものです。

その他、本での問題意識と昨今状況については下記の項目で触れています。

 なぜ「サマータイム」は大失敗だったのか

 かつては「反応を見てみよう」という気楽な雰囲気もあった

 官僚は改革に身を投じる余裕がなくなった

 「政治主導」が全ての課題を解決していく、という価値観

 「モリカケ」問題は、強すぎる官邸への反発

 「政治主導」に対する官僚の反発は日本以外でもある

 リークという形の官僚の反発はよく見られる

 「政治主導」に対して政治家の質が追いついていない

 政権交代から10年程度なら野党が弱いのは当たり前

 壊れつつある「政」と「官」の関係性を仕切り直す

全体を構成していただいたのは、私が特に信頼している若手のノンフィクション作家の稲泉連さんでした。専門的な内容にも及ぶ話を、わかりやすく編集・配置して頂けたと思います。

西田先生と稲泉さんには深く感謝しています。

なお、統計不正の問題 については、週明けの『週刊東洋経済』に寄稿する予定です。こちらもご一読頂けますと幸いです。

 





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