12月17日の読売新聞「思潮2018」

12月17日の読売新聞「思潮2018」の「今年の論考ベスト3」で、小黒一正先生に、「強い官邸には強い独立機関が必要だ」『中央公論』5月号を、筒井清忠先生に、「官を酷使する『政治主導』の歪み」(清水真人氏、松井孝治氏との鼎談)『中央公論』6月号を、挙げて頂きました。

いずれも森友・加計学園問題以降の政治と官僚制の問題を論じたものです(後者は清水さん、松井さんとの鼎談の中で私見を申し上げたわけですが)。この問題はまだまだこれからも議論されていくと思いますが、とりあえずの議論のたたき台の一つとなれたのであれば著者としては大変ありがたいことです。先生方には心より御礼申し上げます。

とはいえ、問題が深刻であることからすれば、喜んでいるわけにはいきません。政権交代が常態化しつつあることがメディアでも広く受け入れられ、その結果として起こった問題はまだどう対応してよいか手探りです。独立機関強化論は、特効薬による完治策ではなく、長期的観点から見た政府機構の体質改善策です。今必要なのは、行政とりわけ各省の側から自発的な政策決定が湧出し、これを官邸がうまく拾い上げていくサイクルが始まることではないかとみています。官邸からの指示で否応なしに各省が課題解決に取り組むというこれまでの「官邸案件」の進め方には、大きな限界があります。すでにそうした限界に政権は直面しているようにも見えます。

いくつかの解決策は現在思案中で、少しずつ周囲の方々に頭出しをしているところです。またまとまったところで発表していきたいと考えています。

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