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「つなぐ人」としての自治体職員とつながる 東大先端研・地域共創リビングラボの第1回「うちわ会議」から

  東大先端研は2018年11月に地域共創リビングラボを立ち上げ、オープニング・イベントを開催しました。その後しばらくの準備を経て、1月8日に、2019年度の活動に向けて、副所長の中村尚先生(気象学)、ラボの担当教員としての小泉秀樹先生(まちづくり・都市工学)、檜山敦先生(VR・身体情報学)、ラボ助教の近藤早映さん、石川県・いわき市から派遣されてきた若手の職員、URAの喜多山さんとともに、部内の検討会を開催しました。会議は当初「内輪会議」という通称だったのですが、そこはリビングラボらしい名前にしようと言うことで「うちわ会議」という名前にしています。

 いくらかのアイディアが出ましたので紹介します。まずは包括連携を締結している複数の県を中心としたイベントを開き、連携の「進化」の形とは何かをテーマに、長年連携の実績を積み重ねた石川県の事例をふりかえってみようという案が出ています。また6月のキャンパス公開の時期を(現段階では)念頭に、ラボに参加している自治体・企業に先端研との連携の可能性を見ていただく「見本市」を開催しようだとか、話し合っています。さらに、参加されている自治体・企業の方に、数日間先端研での研究をご覧いただくようなプログラムを進めようといったアイディアも出ています。

 先端研は、日本で唯一分野を特定しない附置研究所であり、研究分野は情報、材料、バイオ、環境、エネルギー、バリアフリー、社会科学などと多岐にわたっており、自治体・企業が「地域」をめぐって連携できるラボは本来多様なはずです。ただ、具体的にどう連携できるかは、いくらかでも中に入っていただかないと分からないのではないかと私たちは考えています。そのための仕掛けをいろいろと打ち出していくのが、これからのプロジェクトのテーマとなりそうです。

 私自身は、会議で楽しみだったのが、自治体から先端研にいらしている方々が、この地域共創リビングラボに何を期待しているかということでした。

 石川県からは、6年ほど商工労働部と協働して進めている地域企業と先端研ラボとの連携事業について、さらに深掘りして調べてみることや、そこにオーラル・ヒストリーを行ってみるべきではないかという意見が出されました。オーラル・ヒストリーの新しい可能性が見えました。

 またいわき市からは、特に市町村を念頭に置いての上でと思いましたが、「自治体職員はつなぐ人です」という発言がありました。自治体職員とつながり、そこから地域とつながっていくというイメージです。ちょうど、『月刊ガバナンス』に「2040年から見た自治体職員」という自治体職員論を寄稿したこともあり、自治体職員のポテンシャルをどうリビングラボに生かせるか、考えていきたいと思います。多くの研究上の課題をいただいた「うちわ会議」でした。

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