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制度改革だけでは足りず作動学から安倍政権評す 『週刊東洋経済』掲載の『崩れる政治を立て直す』の書評

今週月曜発売『週刊東洋経済』11月24日号に、新著『崩れる政治を立て直す』への河野龍太郎・BNPパリバ証券経済調査本部長の書評が掲載されています。

https://premium.toyokeizai.net/articles/-/19299

まず、

森友・加計問題や日報隠蔽、裁量労働制データ改ざんなどの発覚は、官僚組織内でのサボタージュやリークの存在をうかがわせる出来事だ。近年まれに見る長期政権下で、官僚の不祥事が続くのはなぜか。

現在もさまざまな行政制度改革案が作られている。ただ、理論的に最適な制度にしたとしても、うまく「作動」する保証はない。本書は、気鋭の行政学者が制度の運営に焦点を当て、統治機構改革のあり方を論じたものだ。工学的発想の「作動学」を提唱する。

と冒頭でご紹介頂きました。

また結論部分の改革の提言については、

官邸主導を上手く回すには、人事、会計、公文書管理を預かる独立機関の権限強化が不可欠と著者は論じる。さらに言えば、一部には二大政党制の貫徹を阻害したという見方もある自治体や日銀などの権限強化が、官僚制への影響を含め官邸主導政治の長期的成功にはむしろ有用ではないか。

とご指摘頂きました。

さらに河野さんは、ドイツの選挙で敗北して党首退任を明らかにしたメルケル首相がなおも首相続投を宣言したことを受けて、「円滑な移行」を果たそうとしているのではないか、と私の議論を敷衍されています。この点は、私も報道の時にふと考えたことでした。今後、日本とドイツの首相政治を国際的に比較する上でのポイントではないかとも思えます。本書で提唱する「作動学」の応用可能性について議論できるものでしょう。この「作動学」は、必ずしもアカデミズムに閉じこもる議論ではありませんから、河野さんのように、経済の現場をごらんになっている方々からの創発も期待したくなりました。ありがたく受け止めさせて頂きます。

作動学の応用可能性については、また考えがまとまってきたところで論じてみる予定でいます。

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