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東京大学先端科学技術研究センター・キャンパス公開でのイベントを終えて

5月31日、6月1日の両日、東京大学先端研では、キャンパス公開が開催されました。今年は、オープニングセレモニーの表題は、「東京大学が考える地域連携」で、同じキャンパスの生産技術研究所とともに、「地域連携」がテーマでした。

これにあわせて、先端研・地域共創リビングラボも、イベントを開催しました。開催日前日午後の、5月30日に、連携している自治体職員に向けて、「共創研修プログラム」を開催しました。リビングラボとしては昨年11月に行ったキックオフイベントに続く、二度目のワークショップ形式のイベントでした(この間、決して休んでいたわけではありません。組織固めに皆走り回っていました)。「研修」というのは、このイベントだけではなく、翌日以降のキャンパス公開で、各研究室を回って、所属先の自治体と連携可能な研究室を探してみることができるというものです。参加自治体職員の所属は、石川県、熊本県、和歌山県、いわき市、神戸市、小布施町でした。

「共創研修プログラム」では、まずはすでに連携が進んでいるいくつかのプロジェクトについて、短いプレゼンがあり、その後グループに分かれ、それぞれのグループにはプレゼンで説明のあったプロジェクトの担当者が一人ずつ付き、この担当者とグループとでディスカッションが行われるというスタイルでした。グループの組み合わせは、できるだけ多くの自治体から校正されるよう、また年齢などもバランスをとったものです。

私は冒頭の挨拶で、(1)先端研内では、教授・准教授・講師・事務職員の皆がフラットかつフランクに議論しているので、ぜひ年齢の壁を乗り越えてほしい、(2)リビングラボを体験する参加者がこの手法を自治体に戻ってそこでも行えるようになってほしい、とお話ししました。少しだけ発破をかけたつもりでした。残念ながら、授業があったため、このグループ・ディスカッションは最初しか見学できなかったのですが、予想以上に熱心に議論が展開されていました。

何となくそんな雰囲気に触発された感じを持ちながら、その翌日の31日午前は、「東京大学先端科学技術研究センター 地域共創リビングラボがやってきた」と題する講演を行いました。これまでの自分自身の自治体との協働プロジェクトについて説明し、人口減下の自治体が将来に直面する問題について概説したあと、地域共創リビングラボについて話をしたわけですが、これまた思った以上に乗って説明することができたように感じました。

その感覚がリアルであることに気づいたのは、終了後に共創研修プログラムに参加した方々とご挨拶したときでした。プログラムには、このオープニングセレモニーの参加も含まれていたからなのですが、お話ししている内に、いろんなアイディアが湧いてきます。これはどうやら私だけではなく、やはりプログラムに参加した自治体職員の方々も同じようでした。どうやら、30日のプレゼン+グループディスカッションの余韻を持ちながら、話し合っていると、不思議に何か共鳴するようで、「こんなこともできるのでは」「あんなこともできるのでは」といった提案が双方から出てきます。

これこそが「リビングラボ」の効用かと改めて感じた瞬間です。どこかでエンパワーされたような感覚が残りつづけているのです。

また、その後、別の職員の方と立ち話する機会があり、他の自治体との連携事例を聞いていると、自分の自治体と先端研との間でどう連携すればよいか、具体的なアイディアが浮かんできたので、地元の関係各課にどう説明すればよいか考えてみたいといったお話しを頂きました。これもやはりリビングラボの効果なのでしょう。

夏には、いよいよ牧原研のお家芸でもあるオーラル・ヒストリーの手法を用いて、石川県との連携の歴史を辿る予定です。ある意味では、オーラル・ヒストリー自体がリビングラボの一局面になり得るようでもあり、どうオーバーラップするのか、確かめたいと思っています。

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