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ちむどんのこと

 朝のドラマの話。
 大した話をしようというわけではなくて、なんというか怖いなーって感じていることを書いておこうかなと。ただ、何がどう怖いのかをうまく説明できるかよくわからないんだけど。

 わりと朝ドラ見るほうで、前回のカムカムエヴリバディがよくできていたのと、ちむどんの出演者が「おっ、ここの女優さんたち出るのか~」って感じだったので続けて視聴することにした。
 ……んだけど、「どうにもとっちらかったドラマだな」とだんだんつまんなくなってしまって、結局今はかなり覚めた目で流し見するようになっている。
 私が「怖いな~」と思ったのは、Twitterとかのブーイング(いちゃもんというかツッコミみたいの?)が毎朝、一話ごとに入るようになったことと関係がある。
 もちろん私自身、色々と「あーもー。なんでそうなる?」とか「丁寧に積み重ねないで、唐突な設定の持ち込みや、週単位での単調な話の組み立てしてんなよ」とか、ダメな原因と感じてるところは色々とあって文句も出てたんだけど、ドラマとしてそんなにムッチャクチャなことをしてないときでも、みんなからなにかしら突っ込まれちゃう。
 これが怖いな~、と。
 つまり、早い段階で観客が没入できないようなことを連発してしまったので、もうみんな冷めて見てるってこと。
 お話やキャラクターに魅力を感じて、没入してもらった状態ならば「まあ、そういうこともあるだろ」とか「ははは、そりゃないでしょ」でスルーされるようなことまで、イライラして引っかかってしまう状態になってる、というか。
 「そうなるんだよね~ ほらね、やっぱりなった。そうこなきゃね。よかった~」で済むところも「どーせ、また、こうなって終わるんでしょ、先が読めてるんだよ、浅いなあ」になっちゃってる。みんなが冷静にあら探しして見てるからだ。
 これが、二時間の映画ならまだなんとかなるかもしれないが、最初の一ヶ月くらいでそうなっちゃったドラマが半年くらい続くわけだから、こりゃもう地獄だよね。巻き返そうとするたびに(いや、このドラマの場合は本気で巻き返そうとしてるかどうか、どうも怪しいけど)、「今のこの状態でそれやっても火に油でしょ」って思えてしまうことばかりやっている。
 といって、打ち切るわけにもいかないからなあ。
 「フィクションを楽しんでもらう」という点で、読者や視聴者に途中で夢(没入)から覚められてしまうことほど恐ろしいものはないな――と。
 これ、私もお話作るときに最大限の注意を払っている要素のひとつなんだけど、ちむどんはそこに気づいてるんだか、わかってないんだか、とにかく怖い。そのまま地獄を続けているところも怖くてしかたない。
 自分が物語を作ってて、気づかないうちにあんなふうになっていたら……そう思うと、本当に怖くてたまらない。
 今までは「シラケないように気をつけなきゃ」ぐらいの気持ちでいたのが、具体的に「どう観られてしまうのか」の例を目の当たりにしているわけだからね。「ちむどんみたいなったらどうしよう」って感じになったというか……。

 そうなるともう、ちむどん見ながら突っ込んだり怒ったり文句を言ったり呆れたりすることさえできずに、「ここからでは、もうなにをどうやっても、観ているみんなを作品世界の中へと引き戻すことがほぼ不可能なのに、あと数週間も続くのか」という思いが強すぎて、他人事ながら「あううううう」って、胃が痛くなってしまうというか……。

 というわけで、本当に怖いのです。ううう。

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