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13回目の月命日

■朝のルーティン
起きたらまず、お湯を沸かす。
その間に祭壇に飾ってある花瓶の水を換えて線香を上げる

コーヒーカップを温めてコーヒーを入れる。今は専用の機械を購入して豆から丁寧に挽く。

数十秒蒸らすと、部屋中にいい香りが広がる。コーヒーの香りと線香の香りが交差する。嗅覚は記憶

いろんな思い出が蘇る。妻が好きだった朝ドラを見ながらコーヒーを飲む。

生前、僕が休みの日は妻がこの手間をかけて僕にコーヒーを入れてくれた。

「えいちゃんが淹れてくれたコーヒーが世界一おいしよ」というと本当に幸せそうに嬉しそうな笑顔をしてくれる。

彼女の笑い方はとっても特徴的で「えへへ」と笑う。

この笑顔が見たくてわざと僕は朝寝坊したんだ。

単なるインスタントコーヒが世界一美味しく感じたのは隣で笑ってくれる人がいたから

花なんて買う習慣なかったけど、毎月買っている・・今月は君が好きだった紫陽花

■ひだまりのような場所

毎日のように通った病院までの道。
今も通ると胸が締め付けられる。

最近、よく君の夢を見る。目が覚めると虚無感に包まれる。悲しいとか寂しいとかはまた別の感情。

この気持ちに名前がついてたら少しは楽になるんだろうけど・・・

暖かく、穏やかで陽だまりのような君の存在。

いつも笑っていて、誰かのために一生懸命で・・

写真の中の君は今も笑顔のままだけど、僕はその前でずっとため息ばかり・・・

無くして初めて気づくっていうけど、あまりにも君の存在は大きすぎた。
これからもずっと想っています

■二人で歩いた道

二人で歩いた散歩道。
たくさん語り合った。

手を繋いでても知り合いに会うと君は恥ずかしいのか僕の手をそっと離す。

ちょっと寂しかったりしたけど、その後僕の手を繋ぎに来た時の温もりが嬉しかった。

君が大好きだった散歩道
今年も綺麗な紫陽花が当たり前のように咲いたよ。

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