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一人称遍歴(展望) 2024年4月5日

齢十九にして、自分のことを「僕」と呼ぶことが増えた。誰の影響を受けるでもなく自然と。
死ぬまで「俺」と呼び続けるものだと思っていたが、「なんかガキっぽい」という自意識なのか、大人になった証なのか、理由は不明だが「僕」にシフトチェンジしていった。

〜出雲螢の一人称遍歴〜

0〜3歳 一人称なし
自己中心の世界で、自分の発する言葉はすべて、主語が自分だったからであろうか。

4〜16歳 「俺」
今でも一番かっこいい一人称だと思う。
しかし、そのかっこよさは「髑髏のあしらわれた黒パーカー」や「剣に蛇が巻きついたような金色のストラップ」的なジャンルのかっこよさな気もする。

17〜18歳 「たーた」
おいおいおいおい。
彼女の前だとお前そんな感じやったんかえ。
幼児退行しちゃった。恋は人を盲目にするとはよく言ったもんだ。

19歳(現在) 「僕」50% 「俺」50%
別れてやんの。
目を覚ましたか。でもあの日々を悪くは言わないでね。
「僕」と「俺」のハーフハーフ、いきなり「僕」にフルモデルチェンジすると周りから訝しげな目で見られるから徐々にってか?
自己分析ではそうでは無い気がする。
大人になった「僕」と、子供のままでいたい「俺」とが、喉元でレースをしているのだ。
きっと「俺」はいずれ、活力を失い喉奥でげっそりと座り込み、「僕」の連戦連勝になるのだろう。

これからはずっと「僕」の一人勝ち……

それでいいのだろうか…………

僕は……

いや、"俺"は………

そんなこと許さない!!!


〜出雲螢の一人称遍歴(未来予想図)〜

20〜24歳 「僕」
完全に覇権は「僕」が握っている。しかし、今に見ておけ。全てがひっくり返るぞ。

25歳 「ワイ」
大学卒業後、友達は新社会人としてバリバリ働く中、独りネットの世界にのめり込む。生粋の屑に成り下がる。
スレタイ「ワイ将、一人称に悩み続けていたらニートになっていたのだが。」

26〜30歳 「杏」
映画「キングダム」で楊端和を演じる杏と、夜中の公園で飢えて雑草をムシャ食いする自分が重なる。

31〜33歳 「まろ」
公家になる。己の出自の良さに心底感謝して、山の民(浮浪者)に別れを告げる。

34歳〜40歳 「アナル」
雅な生活もそう長くは続かない。「アナル」という響きが良すぎるのだ。
ケツ拭かば 手に残り糞 塗布塗塗布
宮殿に遺した最後の句だ。

41〜48歳 「アナル達」
自分が七人いると錯乱しだす。自分が本物かどうかが分からなくなり、疑心暗鬼となる。
聞くところによると、本物のアナルだけ1000℃に熱された鉄の棒を挿入れられても耐えることが出来るという。
自分が本物か確かめる勇気は、まだ無い。

49歳 「アナル」
やった!自分が本物だ!自信を持って自分が唯一の「アナル」だと言える!
(そもそも、錯乱して自分が七人いると思い込んでいただけである為、ただただ自分のアナルが強靭だったというのが実際のところである。)

50歳 「僕」
正気に戻る。

51〜58歳 「あっし」
おもんなおじさんに成り下がる。

59〜69歳 「ワシ」
還暦になる前に「ワシ」と呼ぶことで、周りとは違うところを見せたい小賢しいジジイ。

70歳〜 一人称なし
見事に老害に成り果てる。周りに愛する者は誰一人としていない。世界は自分を中心に回っているのだ。


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