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6/24 狂言 ざゞん座 公演を観て

私、琉球舞踊を習いつつ、組踊、沖縄芝居、
現代版組踊などに心を動かされつつ、
狂言の世界にもとても魅せられておりまして。

気付けばもう2週間が経ってしまったのですが!

野村万作先生一門の同人の先生方による、
6/24「ざゞん座」公演、
本当に素晴らしかった。観に行けて幸せでした。ここに記録を残します。

まず万作先生の小舞「海人」
※一応ことわりますが、うみんちゅではなく、「あま」と読みます。

万作先生が舞いだした途端、
「こ、これはっ…?!万作先生は確か今年92歳になられるはず。。あの動き、全くぶれない体幹は一体…!!!」と驚愕、海中の竜と対峙した魂が本当にそこに見える、万作先生の凄みに冒頭から圧倒されました。

続いて月崎先生の「悪太郎」。とかく朗らかな月崎先生が、乱暴者で酒癖の悪い悪太郎というのは意外な役どころでしたが、しかし先生のあの技術、身のこなし、極上のリズム感!凄かった。そして何か、乱暴者なのに、敢えてとぼけた雰囲気がまさに“人間”を映していて、笑いつつ唸りました。

そして深田先生の「花子」。数ある狂言の演目の中でも、大曲「釣狐」を披いたあとに、認められた人だけが取り組むことができるという、大曲中の大曲。以前からぜひ観たいと思っていた「花子」を、深田先生が披かれるということで、すぐさま今回の公演のチケットを予約した次第でした。

花子。
しかし舞台中に花子が実体として現れるのではなく、シテ(主役の意)である夫の台詞、唱、の中、夢現にその姿が浮かび上がる。聞いただけでも高度な内容の演目で、観る方も緊張する思いでしたが、

いざ始まってみると、
いや本当に、
笑った!!!

びっくりするくらい笑って、
こう言っていいのかわからないのですが、
まさに夢うつつな楽しさが今も余韻として残っているほどです。

でも、ほかにないような艶と甘美さとの緩急あっての笑い。

そして、ついに夫が、
萬斎先生演じる妻と対峙してしまう、
あの瞬間と間合い!
何十年も狂言の修行を重ねられた上で、
ついに生み出すことのできるあの瞬間。
生の舞台でしか目にすることができないもの。
ああ、これに出会うために、
私はどこへでも飛んでいきたい(飛んできたんだ)。
そう思いました。

深田先生がこれまで積み上げてこられたものを考えると、コンクール稽古で既に音を上げている自分が小さく小さく思えつつ、かつ励まされる気持ちにもなりました。凄い。すごすぎる。

今回の公演はいろんなご縁が重なり、
沖縄の現代版組踊「鬼鷲」出身で、いまは東京で劇団「まぼろしのくに」を主宰している福地海人君と彼の若い仲間の皆さんと拝見しましたが、帰り道、狂言を初めて観たという子が「笑いを生み出しつつ、まず美しいということがすべて根っこにあるんだと感じました!」と言っていたのを、私も全くその通りだと頷きました。

伝統芸能。
たとえばそこで使われる言葉が現代のものではなかったにせよ、演じる人の力量と思いで、私たちは根っこの部分で同じ感動に気づかされる、そう思いました。

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