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歌ヲ聞キ乍樗堂一茶両吟/降雪にの巻

En écoutant la chanson......
     07

 揃ふて帰る池の菱喰
詩の友と馬並べ行朝あらし          樗堂

初ウ句、朝雨に鞍置け、幸先よく初折裏入りの折立としたのです。

     〇

詩の し・の、詩は中国詩(漢詩)。

友と とも・と 詩をよくする友と共に。

馬並べ むま・ならべ、万葉集に「馬並めて」の歌がいくつか、馬を並べて。

行く ゆく。

朝あらし あさ・嵐、朝の天候不順を知らせてたのですが、民間伝承では「朝雨に鞍置け」とうけとっていたのです。

     〇

 そろふて かへる いけの ひしくひ

し の とも と/ むまならべゆくあさあらし

揃うに並べと、帰るに行くと、しかも人々を中国詩(漢詩)の世界に誘っていたのです。老荘か、李白か杜甫か、あるいは、芭蕉か其角か素堂か、そんなところをうろうろと。

     〇

馬並めては

日並皇子の尊の馬並めて御狩立たしし時は来向かふ    人麻呂
馬並めていざ打ち行かな渋谿の清き磯廻に寄する波見に   家持

など。

     〇

俳諧の連句に

  酒債尋常往処有
  人生七十古来稀
詩あきんど年を貪ル酒債哉       其角
  冬湖日暮て駕馬鯉         芭蕉
干鈍き夷に関をゆるすらん        同

「詩あきんど」の巻『虚栗』発句、脇、三句。

     〇

芭蕉に

 「泊船堂主」華桃青

窓含西嶺千秋雪
門泊東海万里船

  我其句を職て 其心ヲ見ず その侘をはかりて 其楽をしらず 唯 老杜にまされる物は独多病のみ 閑素茅舎の芭蕉にかくれて 自乞食の翁とよぶ

櫓声波を打てはらわた氷る夜や涙
貧山の釜霜に鳴声寒シ買レ水
氷にがく偃鼠が咽をうるほせり

  歳暮
暮々てもちを木玉の侘寝哉

「芭蕉真蹟俳文」がありました。

28.10.2023.Masafumi.

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