![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/119707227/rectangle_large_type_2_6d61bb0016997359cd081e85e418545e.jpeg?width=1200)
鶴ニ乗リテ樗堂一茶両吟/初雪やの巻
16
虎吼る古き霊屋の秋の月
霧吹はれて花紅葉ちる 一茶
初ウ十句、霧の句ながら、花の座を引き上げて月の座に寄せた一茶の句。
〇
霧 きり、季語は秋。
吹はれて ふき・はれ・て。風が吹き霧が晴れて、あたりが明るくなる。「て」は、完了の助動詞「つ」。
花紅葉 はなもみぢ。春秋の美しい自然のながめを賞賛した詞、歌仙では雑の正花。
ちる はなも散れば、もみぢも散る。
〇
とらほえる/
ふるき たまやの あきのつき
きり ふきはれて はなもみぢ ちる
「霊屋の秋」に「霧吹はれて」と付け、これでこの句を秋にしておいて、さらに月の座「秋の月」に「花紅葉」を詠みこみ花の座を引き上げていたのです。ここに、並の俳諧師では成し得ない展開=歌仙の運びを見せていたのです。それは、とりもなおさず、樗堂の<絶句の月>に応えた俳諧師一茶の<賞賛の花>でもあったのですから。
〇
秀歌に
秋の月山辺さやかにてらせるは落つるもみぢの数を見よとか よみ人しらず (「古今和歌集」秋下 289)
がありました。
23.10.2023.Masafumi.
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?