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謡ふ酒屋樗堂一茶/烟しての巻

    日常平語
     14

山越の約束来べき鐘の声
 折おもしろの夜のむら雨        一茶

初ウ八句、俄雨とて、あわてない慌てない。

     〇

折 をり、折々の。

おもしろの 面白の、ゆかいな仲間たちとの集いの様子。

夜の よる・の、(初ウ八句は、本来ならば月の定座)

むら雨 むらさめ、にわか雨。(何がなくとも、これはこれでよし、と。)

     〇

やまごえの やくそくくべき かねのこゑ

 をり おもしろの よるの むらさめ

弥陀の来迎も、俄の雨にかき消されてしまったようですね。お迎えがないとなれば、何より結構。誰彼ともなく、命拾いを喜ぶ連中の顔がいつしか笑顔になっていたのです。

     〇

俳諧に

椋鳥百羽命拾ひし羽音かな     大祇

句に

一と先づは命拾ひし良夜かな    山彦
稲の秋命拾ふて戻りけり      子規

今生のつまづきばかり草は実に  真砂女
今生のおんなとをとこ火に還る   泰世

などが。

01.12.2023.Masafuumi.

余外ながら

ビートたけし『愛でもくらえ』祥伝社(1999)から
  無題
青い空がこんなに悲しいと思いませんでした
春の日差しがこんなに痛いとは思いませんでした
ぼくの心のぬくもりはどこにいってしまったんだろう
きれいな花が悲しいと気がついたのはいつからだろう

知ってか知らずか、ヨウブンは、死後発刊された『季刊東北学』第18号坪井洋文・再考(20009)で
赤坂憲雄
「僕自身は坪井さんの仕事の影響をとても強く受けてきました。最近学生たちと一緒に、坪井さんの書かれたものを集めてみましたが、膨大な量があるんです。にもかかわらず、いま著作として手に入る本は僅か四冊ほどしかないという寂しく傷ましい現実です。」と。

あらら、なんだなんだなんだ、<イモでもくらえ>てんだ!

1998 HANA-BI Hana-bi  Hana-bi

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