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謡ふ酒屋樗堂一茶/烟しての巻

    日常平語
     33

 言ふほどのことをかしかりけり
したゝかな豆の数見るとし暮て        一茶

名ウ三句、飽かず倦まず、小さいことからコツコツと。

     〇

したゝかな 強かな(とて、けっしてケチではありませんよ)

豆の まめ・の 豆粒、米粒、芥子の粒、細かいものの喩え。

数見る かず・みる、数を数える⇒歳を数える⇒文物の成り行きを見定める

とし暮れて 年くれて いよいよ年の瀬となりました(暮れはお店の決算期)

     〇

  いふほどのこと をかしかりけり

したゝかな まめのかずみる としくれて

小豆大豆選りすぐり、死豆生豆精進勧進、まめが一番豆年貢。をかしい許が能じゃない、仕事はきっちり努めます、とかなんとか。年の瀬の商家の慌ただしさを、店の主人がちょっとおどけて和ませていたのかも知れませんね。

樗堂一茶、互いの人物像のスケッチが冴えてました。

     〇

来た来たまた来た
いつも参らぬさひさひ参らぬ
すたすた坊主
夕部も三百はりこんだ
それからはだかの代参なり

白隠「布袋すたすた坊主図」口上。

近代の句に

あら笑止や又年の暮れかゝりて候  子規
甕負うて歳晩の烏瓜        拐童    
手配師といふ顔まこと年つまる   桂郎

などが。

20.12.2023.Masafumi.

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