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とくとくの水麦士一茶/梅の木のの巻

Berjaln-jalan, Cari angin.
     10

酒の料はかた帯をやほとくらん
 晋士にみさを見する雪の日       一茶

初ウ四句、一巻を締める一句に。

     〇

晋士に しんし・に、芭蕉とともに俳諧をよくした其角のこと。(また、真摯にとも)

みさを 操、固く守って変えることのない志、節操とも。

見する みする、見せるの文語形。

雪の ゆき・の 清らかな雪が降る。

日 ひ。(名詞止で、句をさらに引き締めていました)

     〇

さけの
   りやうは はかたおびをや
               ほとくらん

  しんしにみさをみする ゆきのひ/

惚けた後に、雪ですから、これ、かなり効いていたのです。うううっつ、寒ぶ、堪えますなあ、とね。

     〇

松山の句をよくする人々にとって其角は特別な存在でした。

其角の初期の俳誌「句兄弟」や、俳論「雑談集」には、江戸にいた松山藩士との交流がつぶさに描かれていて、爾来、松山では座右の書として読まれていました。一茶来松に際しても、事前に其角のものをしっかり詠みこんでいたことが記録されていました。

折も折、「晋士に操見せる」と、俳席で句が読み上げられたのです。

ここでも、何がどうのと、詳細や経緯は一切ぬきにして、ピシャリとひとこと「みさを」と。それには、おそらく、一座する人々にとって、将に<背筋を打たれる思い>だったに違いなかったのです。松山藩士の麦士の「打ち込み」にみごとに応えた一茶渾身の短句だったのですから。

6.11.2023.Masafumi.

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