とくとくの水麦士一茶/梅の木のの巻
Berjaln-jalan, Cari angin.
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五百の銭に母の野おくり
逗留の笈摺いたく汗ひちて 一茶
名オ三句、笈を背負う痛みのようなものを、、、
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逗留の とうりう・の、旅先でとどまること、旅の渡世にあって。
笈摺 おひ・ずる、笈は「きふ」とも。仏具・衣類・書籍・食器などを入れた背負い箱。笈摺は、袖無羽織のような衣で笈を背負うとき、背の擦れるのを防ぐために着用した。
いたく 痛く、旅行けば背も傷つき痛くなるのです。
汗 あせ、流れる汗が。
ひちて ひ・つ、漬つ・沾つ。ひたる、ぬれる。貫之の歌に「袖ひちてむすびし水の凍れるを」が。
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ごひやくの ぜにに ははの のおくり
とうりうの おひずるいたく あせひちて
旅にあって、母の葬儀に参列できぬ<負い目>を詠み込み、哀悼の念を示していたのです。「汗ひちて」、かなり痛かったんでしょうね。
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笈は、俳諧師にとって象徴的な旅具のひとつ、芭蕉関連俳書に支考「笈日記」乙州「笈の小文」などがありました。
9.11.2023.Masafumi.