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謡ふ酒屋樗堂一茶/煙しての巻

    日常平語
     01

煙してのどけき冬よ山の家      樗堂

発句、樗堂一茶両吟歌仙張行七座目の立て句。

     〇

煙して けむり・して、民の煙から炉の煙、焚火から付け火、あるいは烟に巻いてドロン迄、実にさまざま。

のどけき 長閑。ゆったりとくつろぐさま。友則の歌に「久方の光のどけき春の日に」が。

冬よ ふゆ・よ、当季は冬、「よ」は終助詞。....であることよなあ。

山の家 やま・の・いへ、市中から離れた、ちょいとした隠れ家、と。

     〇

けむりして のどけきふゆよ やまのいへ

歌仙一句、松山逗留の一茶を訪ねた樗堂の挨拶。一筋の煙がやがて空に消えてゆく、「いかがですかな、、」と。

     〇

句に

落葉焚く烟親しみ通りけり      夏山
冬山家烟出しより烟出て       清子

芭蕉に

糸遊に結びつきたる煙かな 

おくの細道、室の八島「曽良書留」(糸遊はかげろうのこと、季は春)

いかでかは思ひありとも知らぬべき室の八島の煙ならでは      実方
煙かと室の八島を見しほどにやがても空の霞みぬるかも       俊頼

など。

     〇

さて、爺さんの歌仙評釈。

しばらく、松山の二畳庵こと樗堂、廉屋の専助さんの煙に巻かれてみましょうか。

18.11.2023.Masafui.

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