仕切り直し樗堂一茶両吟/藪越やの巻
廿一
葎がくれの雅なる雪隠 樗堂
うらまれて男嫌ひの夕化粧 一茶
名オ三句、やがてたそがれ、廓の灯がともる恋。
〇
うらまれて うらむの未然形「うらま」に助詞「れる」の連用形が付いた語
男嫌ひの これはこれ、<男嫌い>もいなくはない。
夕化粧 ゆふげしやう
〇
むぐらがくれの
がなるせつちん
うらまれて
をとこぎらひの
ゆふげしやう
「雪隠」が呼び出し。そこで「夕化粧」と付けた名残表三句目は一茶の恋の句でした。
〇
恨み、怨み、憾み、「敵意のある羨み[怨み}と敵意のない羨み{羨望]の規定因」という論文もあり、人々の織り成す心理の綾はとても繊細で微妙です。
人にうらまれることは、できるだけ避けるべきことでしたが、この世ではいたしかたのないこともままあったのです。歌仙では、<何さ>とばかりに気丈にふるまう女性の姿が描かれていたのです。
〇
夕化粧を「ゆふげしやう」と読みましたが「白粉花」をさす語でもありました。
俳諧には
なでしこよ紅粉おしろいも散らしすて 嵐雪
白粉の花ぬつて見る娘かな 一茶
句には
白粉花や風のおちつく縄電車 南畦
裏木戸を開けてあります夕化粧 とし子
などが。
7.9.2023.Masafumi.
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