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歌ヲ聞キ乍樗堂一茶両吟/降雪にの巻

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一風情雲おく花の嬉しきは
 蓑干すおとこ躑躅おり焚         樗堂

初ウ十二句、初折綴目、躑躅はどうやら琵琶湖湖畔に似合うらしい。

     〇

蓑干す みの・ほす、雨具を乾かす。

おとこ 男、旅人を持成す茶店の亭主。

躑躅 つゝじ、花は春山入りの翳しにしたり、水口で農神を迎える依り代にもなっていました。

おり焚 折り・たく、木や枝を燃して、雨具を乾かしてくれているのです。

     〇

ひとふぜい/ くもおくはなのうれしさは

 みのほす をとこ つゝじをりたく

「雲おく」に「蓑干す」と付けたばかりでなく、初折綴目を泊舩本「野ざらし紀行」の秀句付けで〆ていたのです。即ち、芭蕉の「躑躅生けて其陰に干鱈さく女」に。

     〇

改めて

  昼の休らひとて旅店に腰を懸て
つゝじいけて其陰に干鱈さく女

芭蕉「野ざらし紀行」。(この句、泊舩本にはあって、画入り「甲子吟行」にはありません)

と。

     〇

降雪にの巻   初ウ七句~十二句

   雑 手合の薬のみ飽物おもひ        茶
 月 秋  妾の指図の家建し月         堂
   秋 天の川横に寝て見る水暮て       ゝ
   秋  露にたゞ鳴レ三井寺の鐘       茶
 花 春 一風情雲おく花の嬉しきは       ゝ
   春  蓑干すおとこ躑躅おり焚       堂

30.10.2023.Masafumi.

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