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謡ふ酒屋樗堂一茶/烟しての巻

    日常平語
     34

したゝかな豆の数見るとし暮て
 寝て草臥し花の古里           一茶

名ウ四句、花の定座をひとつ引き上げて。

     〇

寝て ねて

草臥し くたぶれし、切れ。

花の はな・の

古里 ふるさと 「花の古里」で一語。

     〇

したゝかな まめのかずみる としのくれ

 ねて くたぶれし/ はなのふるさと

「豆の数みる」と根を詰めた様子の前句に、すかさず「寝て草臥し」とやや放蕩の振る舞いの句を添え、さらに追い打つように「花の古里」と定座を一つ繰り上げて賞翫していたのです。

歌仙の付け、運び、これ将に日常些事に潜む優雅の真とかや、学ぶべきかな。

     〇

俳諧に

寝言いかに花待山の気草臥        宗也
寝心も花くたびれの夜頃かな       蓼太
草臥れてねにかへる花のあるじかな    蕪村
草臥て寐し間に春は暮れにけり      几菫
草臥の出るやさくらのちる日より     井月

などが。

21.12.2023.Masafumi.

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