謡ふ酒屋樗堂一茶/烟しての巻
日常平語
24
きねぎぬの只どひやうしに明過て
階子の陰にもの思ひ居る 樗堂
名オ六句、駄目だよ、考えてるって、ふりしてみたところで。
〇
階子の はしご・の、上下する階段。
陰に かげ・に、物陰に身を隠すこと。
もの思ひ もの・おもひ、物思いにふけっている様子。
居る いる、その状態でじってしている。(そんなことしていたって埒把は開かないよ)
〇
きぬぎぬの ただ どひやうしに あけすぎて
はしごの かげに ものおもひいる
女のところにしけこんでいたんだから、そりゃ、どうしたって、恰好はつかないでしょう。それにもかかわらず、なんともユーモラスな句柄。こう云ってはなんですが、まるでいっしょになって楽しんでいるかのようですね。
〇
俳諧に
きぬぎぬやあまりかぼそくあてやかに 芭蕉
かぜひきたまふ声のうつくし 越人
手もつかず昼の御膳もすべりきぬ 芭蕉
「深川の夜 鴈がねも」の巻『阿羅野』員外(初ウ7.8.9句)
〇
近代の句に
水草生う後朝のうた昔より 湘子
晝のきぬぎぬ菊膾食ひちらし 邦雄
など。
烟しての巻 名オ一句~六句
(春)二三日は寒ンだけ立し空の色 堂
雑 道さまたげの薪上る舟 ゝ
雑 こそこそと奉行の鑓に隠れたり 茶
冬 扇開ケばあらればらつく ゝ
雑 きねぎぬの只どひやうしに明過て 堂
雑 階子の陰にもの思ひ居る 堂
11.12.2023.Masafumi.
余外ながら
ビートたけし『あのひと』飛鳥新社(1985)に、「大江健三郎の初期の短編に『見るまえに跳べ』という作品がある。学生時代に読んだから内容についてはあらかた忘れてしまっているが、題名がけは鮮烈な印象となっていまも残っている。」と。
ヨウブンは、「エスノロジーのほうから柳田批判というのは、積極的に仮設を打ち出していったものは、岡(正雄)さんしかないですね。」村武精一・坪井洋文対談「日本文化研究をめぐる方法的争点ーーあらたな出発点としての回顧と展望ーー」『季刊社会科学』第12号(1968)
見るまえに跳べってか!
2012 アウトレイジ ビヨンド Beyond Outrage Outrage: Beyond
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