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謡ふ酒屋樗堂一茶/烟しての巻

    日常平語
     25

 階子の陰にもの思ひ居る
雜汁に下部の膳の秋の風          一茶

名オ七句、倹しい昼餉、ことさら秋風が身に沁むのです。

     〇

雜汁に まぜじる・に、雑は残り物の意、魚のあらでダシをとった野菜の煮汁。

下部の しもべ・の、雑用に使われる者、士であれば雑役を務めた下級役人のこと

膳の ぜん・の 昼餉の食膳

秋の風 あき・の・かぜ 野菜多目の汁にまずいとも云えず、ただコキコキと噛みついていたのでした。

     〇

 はしごの かげに ものおもひいる

まぜじるに しもべの ぜんの あきの かぜ

食い物より何より、この人物の、身の置きどころにこそ哀感が滲み出ていたのです。と、付けていたのです。

    〇

芭蕉に

隠さぬぞ宿は菜汁に唐辛子

とか。(こちらは、清貧の潔さがありました。)

12.12.2023.Masafumi.

余外ながら

ビートたけし『少年』太田出版(1987)

 おかめさん

 一郎はジュンにもらった紙包みを破ってみた。破いた途端、運転席に甘いニッケの匂いがたちこめた。
 「なんだ、生八ツ橋かぁ」
 運転手がいった。一郎は小箱を開いた。二十個ほどの生八ツ橋が行儀よく並んでいる。
 「食ってみるか」
 運転手の左手が無造作に伸びてきて、太い指先で三個つかむと、パクッと口にほうり込んだ。いかにもトラックの運転手らしい頑丈な指だった。
 「この人たちが大人なんだ」
 と一郎は思った。

ヨウブンは、「正月に餅も搗いてはいるが、ハレの食べ物としてはイモを優先しているのである。このようにイモを優先させ独立させる地方では、とりもなおさずその伝統的生業の基盤が里芋栽培を中心に展開されているからである。」「餅無し正月の背景」『イモと日本人 民俗文化論の課題』未来社(1979)

どうだい、旨いかい?

2015 龍三と七人の子分たち Ryuzo and the Seven Henchmen Ryuzo 7

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