見出し画像

仕切り直し樗堂一茶/藪越やの巻

     二

  田家
藪越や御書の声も秋来ねと     一茶
 牛にすゝらす白粥の露      樗堂

樗堂の脇は、秀句で応じた露の句でした。

     〇

牛にすゝらす 牛にすすらせる。

白粥 白米の粥。

露 露の滴りで即ち秋。

     〇

麦を煮て牛に食わす。

せいぜいこんなところが極上の餌であった時代に、何在ろう「白粥」と詠んでいたのですから、凡そ在り得ない大袈裟な表現だったのですが、実は、この脇の句には秀句が隠されていたのです。

やぶいりや牛合点して大原迄    其角

つまり、其角の「牛」に云い添えたのが樗堂の「白粥」だったとのではないかと。

宿乞の一茶に、亭主樗堂は「大した応接もできませぬが、ごゆるりと滞在なさいませ。つもるはなしもありましょう程に」と答えている姿があったのです。

白粥の露と結んだ故を<俳諧の露>と解けば、「牛にすすらす白粥」もこれまた極上の "ことばの持成し" だったというべきでしょうね。

     〇

やぶ入りの夢や小豆の煮るうち    蕪村

「春風馬堤曲」についてはいずれ後ほど、、、、、、、、

19.8.2023.Masafumi.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?