見出し画像

有機フッ素化合物発がん性のニュース

 能登半島地震とその関連の事故によって犠牲になられたすべての方々にお悔やみを申し上げます。 また、被災者の方々に衷心よりお見舞い申し上げます。いずみ中山歯科スタッフ一同、被災地の皆様の安全と、一日も早い復興をお祈りしております。

 さて先日、世界保健機関(WHO)のがん研究組織が有機フッ素化合物PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)とPFOA(ペルフルオロオクタン酸)の発がん性の評価を引き上げるということが報道されていました。
 PFOAは「発がん性の可能性がある」から、4段階の評価で最も高い「発がん性がある」に引き上げられました。この評価はアスベストやたばこの煙と同評価になるそうです。また、PFOSは新たに「発がん性の可能性がある」と評価されたそうです。
 一方、同じくWHOは「全ての人々にフッ化物(フッ素)配合歯磨剤の使用を推奨し、フッ化物配合歯磨剤が世界中にフッ化物を供給する重要なシステムである」と提唱しています。日本でもフッ素配合歯磨剤の販売のほか、歯科ではフッ化物歯面塗布としてむし歯予防に繋がる処置として行われています。なお、厚生労働省のホームページによるとフッ化物配合歯磨剤はモノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)やフッ化ナトリウム(NaF)、フッ化第一スズ(SnF2)を含む歯磨剤で、幼児から高齢者まで生涯を通じて家庭で利用できる身近なフッ化物応用で、世界で最も利用人口が多い方法だそうです。
 ただ、フッ素にも小さいながらもリスクがあります。それは歯ができる時期に過剰のフッ素を摂取すると歯のエナメル質が障害を受けて、斑状歯(歯のフッ素症)になってしまうおそれがあるということです。斑状歯が進行すると審美的に大きな問題があります。またむし歯になった斑状歯はエナメル質が弱いため治療が困難で抜歯を余儀なくされることもあります。
 歯ができる時期は大きく分けて2つ。お母さんのお腹の中にいる時期(乳歯ができる時期)と生まれた後の時期(永久歯ができる時期)です。
お腹の中にいる時期は、お母さんの胎盤に守られて、乳歯や胎児本人が影響を受けることはありません。なので、乳歯に斑状歯(歯のフッ素症)がおこる心配はほとんどありません。
 影響が出るとしたら、生まれた後です。永久歯は生まれてから8歳くらいまでにエナメル質の部分が作られるので、小学校3、4年生頃まではフッ素の摂り過ぎに気を付ける必要があるといえます。
 飲食物にもフッ素が含まれていたりしますがその含有量は極わずかです。そのため、フッ素入りの歯磨き粉を使ったり、フッ素うがいをしたりしても、正しく使ってさえいれば問題ありません。また、生え始めて口の中に出てきた歯には斑状歯(フッ素症)はおこりません。
 さて今回、発がん性を評価されたフッ素化合物はPFOSとPFOAの2つです。上述したように歯科で用いられるフッ化物はモノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化第一スズ(SnF2)の3種類で全くの別の物です。
 このニュースを見て来られたのかは分かりませんが、年末に親子で来院された患者様から、「フッ素は危険だから塗らないでほしい」との申し出がありました。患者様からの申し出なのでフッ素塗布を行いませんでしたが、歯科で用いられているフッ素化合物は発がん性に繋がるものではありませんのでむし歯予防のためにも安心して塗布していただければと思います。

いいなと思ったら応援しよう!