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アマプラ渾身のお仕事ものドラマ「Angel Flight」

Netflixと同様、AmazonPrimeVideoも世界各国でオリジナル作品を制作している。アマプラ・オリジナル・ドラマ最新作、米倉涼子主演の「Angel Flight国際霊柩送還士」は、割とヒットがカタいと言われるお仕事ものの中でも、ここまでニッチな職業にスポットを当てるのかと驚く、国際霊柩送還士という、そもそもそういう名称の仕事あるの?みたいな職業人たちのドラマである。

海外で死亡した日本人のご遺体の送還や、日本国内で死亡した外国人のご遺体の海外への送還を仕事としている会社の話で、脚本は今年の大河ドラマの脚本も担当している古沢良太。さすが米倉さん主演のドラマ、他のキャストも大充実である。


私も10年以上海外生活をしてきたので、それだけ長く海外で暮らしていると、幸い親しい人にはいなくとも割と身近なところで不慮の事故などで亡くなる人がいる。日本人が亡くなった場合、日本の葬儀は基本、火葬なので実は多くの場合、ご遺体をそのまま日本に搬送するよりも、日本からご遺族たちがやってきて、そこで火葬に立ち会い、ご遺骨を持ち帰るというケースが多い。少なくとも、私の周囲で見聞きした範囲では1人を除いて全員そうだった。


何人もの家族が急ぎ海外まで駆けつけて、そこで荼毘に付し、ご遺骨をみんなで持ち帰る、よりもご遺体のままの海外搬送ってものすごくお金がかかるんですよ。お金の問題だけじゃない、現地で出発前の司法解剖をはじめとする書類の数々を用意し、搬送し、到着してからまた司法解剖、その際に、出発国と到着国で必要とされる記載事項が違ったりすると、追加で書類を要請するとか解剖で追加の検査があったりとかするので、ご遺体を搬送して葬式をしようとする場合、亡くなってから葬儀までの日数がかなり必要になって、結局葬儀の時に顔を見て最後のお別れが出来ない可能性もある、というのもご遺体の国際搬送のハードルになる。

1人を除いて、と先述したが、その1人は当時20代前半の日本人学生で、事故死だったと記憶しているのだけど「まだ若かったのに亡くなったから、葬儀できちんと皆様とお別れをしてほしいから」と、ご両親が手続きのために渡米してきて(私が留学生だった頃なのでかなり昔の話。多分今より色々手続きが煩雑だったはず)、様々な手続きをして送還するって話だったけど、その手続きも1日2日じゃ終わらず、かなりご苦労された末、ご遺体の搬送だけで100万円単位の出費と、ご両親の往復の旅費をかけて連れ帰り、更に葬儀費用も、と考えるとものすごい出費だったんじゃないかなと思う。

葬式にまつわる手順や費用に関してって気軽に人に聞けない話なのはどこで亡くなっても同じだと思うんですが、海外で亡くなった場合も同様なので、周囲で誰か亡くなっても、ご遺体を搬送するにしてもご遺族がやってきて荼毘に付すにしても、細かい疑問がふと湧いても聞けないんですよ誰にも。

葬式にまつわる諸々って、国によって習慣も違うし、同じ国でも宗教や地域で違ったりもする。家庭の数だけ違いがあるみたいなところがあるテーマだからみんなが聞けないその裏側を見せてくれる、映画「おくりびと」や米国のドラマ「シックス・フィート・アンダー」など、葬儀にまつわる作品というのは国や宗教問わず、人々の興味を惹くし、ヒットもするし評価もされる。

そういう意味では渾身のお仕事ものかつ鉄板のテーマを用意してるのだから、ちゃんと作れば評価されるべき作品だろうなあと思って観始めた。

米倉さんの部下役の松本穂香さんや城田優さんなど、社員数も多いんだけど登場人物各自のお芝居が確かなものかつキャラがそれぞれ立ってるので人数が多くても誰も埋もれないし、犯罪被害者、テロ事件巻き込まれ、事故死、病死など各話ごとの様々なケースでどんな対応が必要になるのか、普段知ることのなかった部分が展開されていくので、一気見してしまう(と思う、まだ途中)。

それと外国で日本人が死亡したケースのストーリー、当然現地での回想シーンみたいなのも入ってくるんですが、キャスティングがちゃんとしてるというか、エキストラ・レベルのキャストもちゃんと設定国の人たちを集めてるし、だけどセリフ多めの外国人キャストは米国人を中心にキャスティングしてるのか、とても聞き取りやすい英語かつ演技力も一定水準を超えているので観ていて違和感がない(地上波のTVドラマだと外見が外国人で英語が喋れる、までしかクリアしてない、英語のお芝居が結構アレな人が出てたりするので、そういうシーンで興醒めになりがち)。いや、第一話のフィリピン人がフィリピン英語じゃなくバリバリのアメリカン・イングリッシュで長台詞喋ってたのは「フィリピン人じゃなくてフィリピン系米国人か!」ってちょっとビックリしたけど、米国人の英語は聞き取りやすいので私的にはOKです。さすがに設定各国人で英語で芝居が出来て日本の現場で仕事が出来る人、に限定して探すのは困難だろうし。

それにしてもアマプラ・オリジナルだから映像はUHD(4K)だし、Fire TV Stick 4K MaxとEcho Studioで組んだホームシアターで観ると、とてもクリアな映像かつ、音響もすごく良くて、「ソフトウェア・アップグレード来たの?音良くなってない?」って驚いちゃいました。


やっぱりAmazonの配信系はAmazonデバイスが強いというか、Amazonデバイスのスペックをフルに活かすならAmazon配信系だなと、このドラマを観て実感しているところ。


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