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指先の青とチューリップのピンク、わたしの世界

毎日文章を書くことは、やはり祈りで、願いで、療養期間以外変わってなかったけれど、ここ最近は、めっきりうまく、書くことができなかった。うまく、書く、ということが、そもそもどういうことを指すのかわからないけれど、わたしがわたしの文章にあまりしっくりきていなかった、悩むことが多かった。普段はずうっと頭のなかに言葉があって、それをあちこちからかき集めて、書いて、一日を終えるのだけれど、あちこちに言葉が散らばってなくて、困った。そういえばほとんど家から出ず、ベッドからも出れず、食事も取れず、一日中おなじ場所にいたからだ、と今はおもいます。

今日、朝は機嫌がほんとうにわるく、せっかく早起きしたのに、またおなじ一日を繰り返すのだなあとおもった。けれどお昼すぎからすこしずつ元気になって、パンをかじって、隣町まで行くことができた。電車にも乗れた。たくさんわたしはわたしを褒めて生きていきたいね。チューリップがたくさんあるよと教えてもらって、見にいくと、ほんとうにたくさんあった。色とりどりのチューリップ。ちょうど、黄色のチューリップが枯れたところだったから、帰りに買うのを約束して、目的の場所に行った。帰りは、何も用事がなくても、いろんなところに寄り道した。何も買わなかったり、ほしかったマニキュアを買ったりした。約束どおりチューリップを買って家路に着いた。ピンク色のチューリップにした。

わたしはいつも未来をみていて、そのスピードはたぶん他の人より速くて、もっともっと遠くにいきたい、とおもっています。その気持ちは変わらないけれど、ゆっくりと、今は、今を、しっかりと生きてみてもいいのかなあ、ちょっとのんびり、寄り道してもいいのかなあ、とおもえるようになりました。なにもやらないってちょっとむずかしいね。やっぱりこうして書いているから、なにもやってないわけじゃないし。それでも、ちょっとゆっくりと、生きてみたいなって今は素直におもいます。

あたらしい音楽を聴いた。そのミュージシャンのあたらしい歌はとてもよかった。でも、いちばん好きな歌は、わたしの好きな人が好きだと言っていた歌。これ好きなんだよね、ってたくさん聴かせてくれた。イヤホンが絡まって、どっちがどっちのかわからなくなって怒られたりして、でもそんな日々はもうないんだろうなっておもう。アストロノートは二冊ある。チューリップの前に、チューリップといぬの絵を飾っているのだけれど、そのとなりに、ずっと、ある。眠るまえに聴かせてくれたカセットテープもある。さっきおふろに入ったとき、なにか思い出したけれど、もう忘れた。そうやってすこしずつ、忘れていくのかなあとおもう。でも、いつか、高校の先生が言っていた、「結婚しても、一生忘れられない人はいるよ」って言葉が、どうしても、やってくる。きっと、そうなんだとおもう。特別な形で一生、残っている。近づいたり離れたりして、一生、憶えている日々がある。

あたらしいマニキュアは、深い青だった。前から欲しいなとおもいながら、なかなか買えずにいた。指先にすこしずつ色がやってくる。深い青の指先を、わたしは持っている。療養中、すこしずつ剥いだ銀のキラキラ。おしゃれとか日常とかそういうものが遠くなっていたから、久しぶりにお化粧してお外に出て、元気が出ました。うまく生きること、わたしできないけれど、それでもいいやっておもえました。書いて、生きて、なんとなく、なんとなくでもいいから今は。生きていこうとおもいます。

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