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物事を正しく見ることができるのは心だけ

この記事は、スクラムギャザリング&スクラムフェス Advent Calendar 2022の17日目の記事として書いてますが、スクラムと関係ない内容になりました。

サン・テグジュペリの名作「星の王子さま」を読んだことがありますか?

物事を正しく見ることができるのは心だけ。大切なものは目には見えない。
 It is only with the heart that one can see rightly. What is essential is invisible to the eye.

サン・テグジュペリ 星の王子さま

この一節は名言と呼ばれるキツネのセリフなんですが、はじめて読んだ時なぜこれが名言なのかピンと来ませんでした。
最近読み返してみたところ、1回目よりも少しわかった気がするので言語化してみようと思います。

物事を正しく見るということ

注目するのは「物事を正しく見ることができるのは心だけ」という一文です。でも「正しく見る」の正しさってどうやって定義するのって思いますよね?
世の中のほとんどは不確実なものばかりです。
誰かにとっては正しいけど誰かにとっては正しくない。そして"誰か"の範囲が広くなるほど、その範囲における正しさを定義することが難しくなります。
なので逆に、正しさを定義できるまで"誰か"の範囲を狭めてみることにします。そうすると最小単位は「私」になります。
「私にとって正しいと思えるならば、私は今物事を正しく見ている」と考えることにしました。
ここで大切なのは正しいんだと自信をもって言い切れることだと思います。
「他人はどうか知らんけど私にとってはこれが正しいのだ」と。

心の目で見るということ


では、なぜ正しさは心の目でしか見れないのでしょうか。
それ以前に目で見るってそもそもどういうことでしょう。
目で見えるもの(耳で聞こえるものも含む)には、文字・文章・言葉・色・形などがあります。表情・声色・態度などの変化が伴うものも含めるともう少しバリエーションが増えますね。
私達は普段「正体不明の何か」を認知する時にこれらの目にみえる情報を利用して理解しようとします。目にみえる情報を利用するのは私達が理解しやすくなるからです。
ですが、目で見える範囲の情報に限定されてしまうため、同時に目で見えない情報はここで削ぎ落としてしまっているのです。
「心で見る」というのはこの削ぎ落とされた方の情報を、なんとかして感じ取ろうとする行為だと思いました。

例えば、チャットではいつも冷たい言葉を投げかけてくる人がいるとします。
目に見える"文字"で判断すると「もっといい言い方はできないのかこの人は。ほんとイヤなやつ。」と思ってしまうかもしれないんですけど、目に見えないところに意識を向けると、そういえばこの人はいつも同じ時間に連絡をくれるから実は毎日気にかけてくれているんだな、ということに気づいたりします。
目で見ると「冷たい人」、でも心の目で見ると「いつも気にかけてくれる人」。全然変わりますね。

つまりどういうことか

キツネの名言に照らし合わせて理解すると、正しく見ることができるのは心の目のほうになります。
「物事を正しく見ることができるのは心だけ」というのは、「自分の心が感じ取ったものは、私(という確約可能な適用範囲)にとって正しいことなのだと自信をもって言える」ということです。
もう少し砕くと「自分の心が感じとったことは私にとってまぎれもなく正解」だってことです。結局は

Don't Think. Feel!
考えるな、感じろ

『燃えよドラゴン』

ってことかと。
一周回って最終的にここにたどり着きました。
余談なんですけど、「センス・オブ・ワンダー」を読んだときも「幸せな自信の育て方」を読んだときも私はこのメッセージを受け取ったので、これは人生の核心をついている気がしています。

まとめ

心の目でみるというのはその人、そのモノと接することで自分が受け取った感情をを味わうことです。
それで自分の心が幸せで温かい気持ちになったり、前向きでエネルギッシュになれるのなら自分にとって大切にしたほうがいい関係性や事柄なんだと思います。

目に見えるもので判断することはわかりやすくて簡単です。
仕事をしていくにあたり、情報の透明性を保ち誰もが同じものをみて判断できることは、チームで認識を揃えスピード感をもって進んでいくために非常に重要な要素です。仕事の上では感じることよりも情報から判断することのほうが多かったりします。
一方で、ひとりの人間としての生き方にフォーカスした時には、見えないものを感じ取ることが生き方を豊かにしてくれると思いました。

今の世の中はあらゆる情報を優位に利用することができますが、事実と違う情報もたくさん溢れています。
事象にそれらしい尾ひれをつけてあたかも事実らしく見せることも、一部だけ切り取って無責任に拡散することも容易にできます。そして、その中から本当に正しいものを見分けることは非常に困難です。
だから心の目で見て、自分にとっての正しさを基準に自信をもって判断していく必要があります。

目で見ることに加え、心の目で見ることも意識するようになってから、私は本当に多くの人に支えられて生きていることを以前よりも実感できるようになりました。うまく表現できないんですけどいろんなことを多方面に捉えられることによって世界が広がったような感覚があります。

星の王子さまは今のところ読むたびに違う発見があるので、何かの機会にまた読んでみようと思います。
余談ですが星の王子さまの日本語訳は何種類かあるようです。訳者によって表現が違うと思うので読み比べてみると面白いかもしれません。(私は河野万里子さん訳で読みました)

以上です。スクラムほとんど関係なくてごめんなさい。

余談ですけど、実はブログを2本書いていて直前までどちらを公開するか決めかねていました。今回ボツになって記事は時が満ちたら公開したいと思います。

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