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世界唯一のマージャン体験を求めて、栃木のフリー雀荘に行ってきたよ(後編)

(前編はこちら)
この記事は、近ごろ健康マージャン界隈で話題沸騰となっている「カンターン麻雀」を実際に打ってみた体験記です。
有料(100円)にしていますが、最後まで無料で読めます。

前回までのあらすじ

福岡から栃木までフリー麻雀打ちに来たけど、不安になってきた。
(トップ画像は旅行先で食べたパフェの画像)

栃木県北ウイング

矢板ミステリィ 私を呼ぶの
牌はミステリィ 不思議な力で~
(若い人は「北ウイング 歌詞」でググってください)

宇都宮から北に30分、電車は矢板に到着です。西口を出て、跨線橋で東口に渡り、ロータリーを回って50m で最初の交差点。すぐ左手に目指すお店「健康麻雀ゆっくり」があるはず。

6年ぶりのフリー雀荘、少し、いやだいぶ不安よ。しかしここが私の目的地。空腹だけど腹を決めるしかありません。初めてのお店では第一印象が大事。どういう口調で、何と挨拶しよう?歩きながら予習を重ねます。言葉をためて、ふいに店に飛びこむ。それが返事よ…

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……店長(以下「きくちさん」)が店の前で出迎えてくださいました!

そしてそのまま、玄関が開け放たれた、広々とした店内へ。都会なら8卓は置けるスペースに、贅沢にも4卓だけ置かれてあり、フリーと思しき卓が1卓立っています。よかった!とりあえず、1200キロも旅してゲストに来たのに卓が立たない、という気まずい事態は免れました。※ゲストに来たわけではありません。

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きくちさんはピンクの半袖開襟シャツを着こなすおしゃれ泥棒。私と同じアラフィフ系男子で、穏やかそうな物腰が印象的です。

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この方です。

手土産の「博多通りもん」を差し出しながら、しばし雑談。麻雀店の経営に携わったことがなく、初めて手掛けたお店がこの「健康麻雀ゆっくり」という話には驚きましたが、だからこそ通常の発想では思いつかない「千式整合麻雀フリー」に思い至ったのかもしれません。
※そのあたりの話はチラッと下のリンクに書いていらっしゃいます。

千式整合麻雀(カンターン麻雀)とは

さてようやく、きくちさんに「千式整合麻雀」の説明を受けます。大体のところは健康麻雀ゆっくりのサイトに公開されていたので知っていましたが、下の2枚の画像の通りです。

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千式麻雀のポイントは以下の2点。
 1. 東場は通常の進行。南場になったら、アガった人がトップになった(あるいはトップ目がアガった)時点で終了。流局時テンパイも同様。
 2. ゲームの評価は、1着が勝ち、それ以外は全て負け。「健康麻雀ゆっくり」では、個人の成績カードが配られ、「○」(勝ち)と「×」(負け)のスタンプが押されます。

それに付随して、ゲーム進行を簡単にするルールがいくつか決められています。
 1. 点数に親・子の区別はなく、原則として 1ファン1500点の倍数。(ロンもツモも同じ点数)
 2. ピンフ無し、カン無し、フリテン無し、途中流局無し、流し満貫無し、喰い替え有り。
2.は、麻雀の進行を止めがちな部分をバッサリ切ってます。流し満貫とか九種九牌とか、枝葉の部分も楽しめるのが麻雀の魅力ですが、千式麻雀はあくまでもアガリに主眼があるので、要素を省いたのでしょう。

要するに、千式麻雀=サドンデス。「アガったのに4着のままゲーム終了」「ハネ満親っかぶりしたけどトップで終了」等が一切ありません。とにかく自力(アガリ・テンパイ)でトップを取らないとゲームが終わらないし、勝ちが付かないルールです。

もう1つの整合麻雀については説明が難しいのですが、1つだけポイントを挙げるならこれでしょうね。
 1. 全ての動作(ロンアガリ、ツモアガリ、チー、ポン、ツモ)は、自分のターンで行う。
これによって色々と面白いイベントが発生するのですが、それは後ほど。

画像では分かりづらかった細かな疑問点をいくつか質問していくうちに、不安も徐々に薄らいできました。麻雀打ちであれば分かってもらえるでしょうが、麻雀について考えている間は、雑念が入りにくいものです。そして千式整合麻雀は、麻雀好きのための、麻雀に没頭するために作られたルールだな、というのが何となく分かってきたのです。

サクサクと10ゲーム、そして結果は…?

そうこうしているうちに卓が欠けて、いよいよ私の出番です。世界で唯一の、千式整合フリー雀荘デビュー
ちなみに当日は、初心者向け麻雀サークルを主宰している「NKCぴんふさん」と、そのサークルのメンバーである「たかひろう 下戸さん」が、私がゲストに来るというのでわざわざ新潟から来てくださいました。ありがとうございます!
でも、これは別の物語、いつかまた、別の時に話すとしましょう。

1戦目は、常連さんが2人と、たかひろうさん。常連さんは千式整合ルールを打ち慣れている様子で、私の間違い、あるいは「千式整合ルールあるある」を、やさしく指摘してくれました。その後も2、3名のお客さんが入れ替わる形。みなさん、短い空き時間を利用してサクサク打ちに来ている様子です。まさに「コンビニのように気軽に遊べるフリー雀荘」

年代も、若い男性もいれば、ご年配の女性もいたりして、さまざまです。あまり会話はしませんでしたが、打っていれば何となく通じるものがあります。みなさん、地元に他の雀荘がないから仕方なく、あるいはゲーム代が安い(1ゲーム150円)から健康麻雀ゆっくりに来ているわけではなく、牌を触って人と麻雀を打つのが好きな方々です。

そして「千式整合麻雀」は、レベルが違い、麻雀に対する向き合い方も違う人たちが、初対面でも戸惑いなく、ストレスなく遊べるよう、よくよく練られたルールであるのも打っている間に分かってきます。麻雀の楽しさを追求するとこういう方向に行くんだな、という新鮮な驚きと、サクサクの心地よさを味わうことができます。

さて結果は、〇××××××××〇、10戦2勝。最初トップ取ったときは「これは楽勝かな、一日の長がある」と思ったんですが、その後はまるでダメ。最後に何とか面目を施すのが精いっぱいでした。

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10ゲーム分の代金1500円を支払いながら(ゲーム代は後払いです)、クソリプおじさんらしく「これってオセロですよね? 端と端が〇だから、全部ひっくりかえって〇になりますよね?」と3回くらい繰り返しギャグをかましたのですが、一度も、誰からも相手にされませんでした

ゲーム時間は3時間半、200分くらい。1ゲームあたり約20分。南場サドンデスとはいえ、5ゲーム以上は南1局か南2局で決まったはずです。1ゲームだけ、南場4局では決着がつかず、西場にもつれこみました。西場に入るとプレイヤー全員が1000点ずつ場に出して、アガッた人が4000点ゲットするので、ほぼそこで決着がつきます。

なお「一日の長」というのは、私は千式麻雀を17年前、2003年に打ったことがあり、実は千式麻雀の大会を世界で初めて開催したのは私です。でも、千式整合麻雀はその時の大会形式・ルールよりはるかに洗練されていて、面白くなっています。

整合麻雀あるある

整合麻雀は上に書いたように「ターン制麻雀」。つまり自分のターンが来るまでは何もアクションを起こせません。そのため、一般的な日本麻雀では起こらないようなイベントが起こります。
そんな整合麻雀あるある、いくつかご紹介します。(実際の闘牌に基づいていますが、記憶があいまいなので、そのあたりはご勘弁ください)

◆チーしようかポンしようか迷う。
一般麻雀でも迷うときはありますが、整合麻雀では贅沢な悩みが生じます。
たとえばこんな状況。

ポンチーどっち

下家が三萬を捨てました。上家が八筒を捨てました(分かりにくくてすみませんが、牌の位置は河の位置に合わせています)。そして自分のターンです。整合麻雀ではこの場合、3つの選択が可能です。
 A. 下家の三萬をポンする
 B. 上家の八筒をチーする
 C. ポンチーせず、自分の山からツモる
この手はクイタン・赤が本線ですから、C.は勝負になりませんが、A.B.どちらを鳴くかと言われると、悩んでしまいます。実戦ではポンを選択しました。
整合麻雀では、自分のターンが回ってくるまでの間に、選択の優劣を考えます。三萬が出た時のことをあらかじめ想定して身構えて、人より先に「ポン」と発声する必要はありません。問われるのは反射神経と口の滑らかさではなく、手組みの構成力です。

ちなみに、画像の下段はチーしたメンツ、六七八索です。整合麻雀では、チーした牌は河から持ってこず、自分の山の牌をこうやって裏返しに置くことで、何をチーしたかを表します。この場合は七索ですね。

◆アガったはずなのにツモられる

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7巡目、こんな形でリーチしました。一四七筒の三面待ち、絶好形。ちなみに、ピンフという役はないので、この手を出アガリするにはリーチをかける必要があります。
すぐに下家が一筒を出しました。一発はありませんが、リーチドラ1、3000点のアガリです。ロンと発声したい気持ちを抑えて待っていると、対面から「ツモ」の声が。あー、頭ハネか……ん、違うぞ!二索ツモじゃん。

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そうです、整合麻雀では全てのアクションは「自分のターン」でしか行うことができません。もし自分より先にアガッた人がいた場合は、自分のアガリは成立しません。
この「アガリ牌は出たけど他の人にツモられる」は意外と出現します。10ゲーム中に4、5回はあったと思います。

他にも、
◆通らばリーチで通ってないのにリーチ棒を取られる。
◆合わせ打ちをしたつもりだったが、実は当たり牌だった
など、整合麻雀あるあるは事欠きません。
不思議なのは、だからと言って面白くなかったり、適応するのに時間がかかったりはしないところです。逆に、麻雀って、こんな感覚で打てるんだ、という新鮮さを味わうことができます。

世界唯一のマージャン体験を、自分のサークルで広めてみた。

あっという間の、世界でここだけしかできないマージャン体験が終わったのは夜の9時。その後、店を閉めたきくちさんと一緒に食事をして、色々な意見交換をしましたが、実は緊張の糸が切れかけていて、何を話したかはあまり覚えていません。(きくちさんすみません)
しかし、矢板のホテルに帰って一晩休み、旅の朝のお楽しみである「関東ローカルテレビ局の全然知らない年増女性の歌番組」を見ていると、ふつふつと楽しさが甦ってきます。ああ、面白かったなぁ、千式整合麻雀。感動、というほど大げさではないけど、マージャンって良いなぁ、と思わせてくれる。そんな感じです。

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北関東のお楽しみ

ふわふわした気持のまま、次の日は東京に行って、自分のサークルの麻雀セットを打ったのですが、そこで千式整合麻雀の普及活動に勤しんできました。サークルのメンバーにも、大好評でした。

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打ってるのは千式整合じゃなくてちゅんま(中国麻雀)ですけど、千式整合も好評でした(とってつけ)。この中の1人が、健康麻雀ゆっくりさんに「西場になったら1000点供託しては?」と提案して採用された、という経緯もあります。

後、もともと、千式麻雀も整合麻雀も、サークルのメンバーである「ヒロタシさん」(ドミニオンの人として最近は有名です)の考案になるんですが、彼は実戦後、こんな感想を。

他にも色々と、楽しい感想が出てきます。

麻雀好きなら、栃木に行ってみてください。

さて、これで「世界唯一のマージャン体験を求めて、栃木のフリー雀荘に行ってきたよ」という話はおしまいです。長くてとりとめのない文章にお付き合いいただき、ありがとうございました。

もしこれを読んで、千式整合麻雀、今の名前は「カンターン麻雀」を打ってみたいと思った方、ぜひ健康麻雀ゆっくり、に行ってみてください。

きくちさんはTwitterによくいるので、分からないことは気軽に聞けます。

最後に、この記事は、有料にしてみます。購入しなくても、全ての文章を読むことは可能なのでご注意ください。
もしご購入いただければ、こんどまた栃木に行く時の旅行資金に充当します!よろしくおねがいしますm(_ _)m

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