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新型コロナは“第二波のまっただ中” 医療現場では重症者増加に危機感

新型コロナウイルスの国内の感染状況について、日本感染症学会は「第二波の真っただ中にいる」との認識を示した。一方で感染症学会からは医療が崩壊するといった最悪のシナリオが起きる可能性は低くなってきたという見解も出された。しかし、実際に患者の治療にあたっている医療現場では最近の重症者の増加に危機感を募らせている。

○今が本格的な“第二波”なのか
これまでの取材では感染症の専門家の多くが「本格的な第二波」は秋以降に来るという見方を示してきた。その理由は寒くなると家に籠るようになるため飛沫感染が増えるからだという。よく冬場は乾燥するから感染症が流行るというのは間違いで窓を開けるなど換気をしなくなるために感染リスクが高まるという。しかし、感染症学会の舘田一博・理事長は今月19日、新型コロナ感染は「第二波の真っただ中にいる」という判断を示した。

20日の感染症学会のシンポジウムでは専門医から感染状況について楽観的ともとれる見方も示された。例えば「(感染は)全国的に見るとだいたいピークに達したとみている」(尾身茂・分科会会長)や「大都市で数万人が死亡し、医療が崩壊するといった最悪のシナリオが起きる可能性は低まってきた」(東北大・押谷仁教授)などだ。果たしてそうなのか?

〇コロナ感染は人的要因で拡大する
感染症専門医で実際にコロナ患者の治療に当たっている国立国際医療研究センターの忽那賢志医師は「第二波かどうかは各自の判断に委ねられていて、私自身は明らかに第二波だと思うが、そこはあまり重要ではないのではないか」と語る。「新型コロナウイルスは寒くて湿度の低い環境で広がりやすいというデータもあり、秋以降に増える可能性はたしかにあるが、この夏の流行でお分かりの通り、環境要因よりも人の要因の方が大きいものだと思う。従って秋以降に再度流行が来る可能性は十分ある(というか高い)と考えるが、それは第二波と同じく人の要因が大きいのだと思う」としている。

○最近の重症者増加に医療現場は危機感
忽那医師はウェブ投稿で「重症者数は新規感染者数の増加から約2週間遅れてピークを迎える」と指摘する。「感染者数そのものはピークを迎えたかもしれないが、重症化リスクの高い人達が占める割合が増加してきているため、重症化する人の割合は流行初期よりも多くなっていくことが懸念される」としたうえで「一旦、重症になるとすぐに症状は改善しないため、医療現場への負担は積み重なっていく」と危機感を訴えている。

政府は無症状者を入院勧告の対象から外すなど法的措置の見直しを検討している。また「GoToトラベル」の東京発着除外を解除する方向で摸索している。それをするのであれば納得できる根拠を示して欲しい。


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