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AYA世代の慢性骨髄性白血病(CML)

1.AYA世代ってなんですか

いずみの会では昨年(2022年)からAYA世代のCML患者のための交流会を始めました。みなさんはこの「AYA世代」という言葉をご存知ですか? AYA(アヤと読みます)世代とは、Adolescent&Young Adult(思春期・若年成人)の頭文字をとったもので、日本では15歳から39歳までの世代を指します。AYA世代は、15歳から30歳代と対象が広く、年代によって状況が異なることから、15~19歳をA世代、20歳代以降をYA世代として分けることもあります。
AYA世代のがん患者には、15歳~39歳でがんを発症した人と、それ以前にがんに罹患し15歳を迎えた小児がん患者の両方が含まれます。日本では、毎年約2万人のAYA世代が、がんを発症すると推定されています。AYA世代でがんを発症する人は、1年間でがんを発症する人100人のうち2人程度です。年代別にみると、15~19歳が約900人、20歳代は約4,200人、30歳代は約16,300人です(2017年)。CMLは年齢が若いほど発症する人が少ないがんです。そのため、この中からさらにCMLに限れば、AYA世代のCML患者がどれだけ少ないか想像できるのではないでしょうか。

2.AYA世代の悩み

AYA世代は、学業、就職、恋愛、結婚、出産など、様々なライフイベントが集中する時期です。学業や仕事を続けていけるか、就職に際して不利にならないかという不安もあるでしょう。経済的にまだ自立できていなかったり、働き始めたばかりで治療の費用は大丈夫かといった悩みもあります。さらに、将来結婚して(あるいは今のパートナーと)子どもをつくることができるのかという心配もありえます。
しかし、CMLに限らず、一般的にAYA世代のがん患者は同じ病気の「仲間」がいないことに悩みがちです。同世代の人たちが学校生活や就職活動に励み、恋愛や友人との付き合いを楽しむ中、「がん」という病気をかかえ、将来に対する不安や孤独を感じている人も少なくありません。また、患者会に参加しても自分よりも年配の患者さんばかりで居心地の悪い思いをすることも珍しくありません。

3.AYA世代のCML患者の悩み

ここまでAYA世代のがんとその悩みについて、がんの種類を問わず共通する課題を取り上げてきました。ライフイベントにまつわる多様な課題にせよ、仲間が少ないという課題にせよ、どちらもAYA世代のCML患者にとっても悩ましい問題です。しかし、CMLだからこその困りごともあります。そこで最後に、いずみの会のAYA交流会で話し合われたことからいくつか紹介したいと思います。
分子標的薬の副作用に悩まされること自体は年配の患者さんと同じです。しかし、若いからこその悩みもあります。例えば脱毛です。薬によっては髪の毛が抜けることがあります。脱毛やそれによる薄毛は誰でも嬉しくはないでしょう。それでも、若い時ほど気になる悩みであることも分かってもらえるのではないでしょうか。
妊よう性(子どもをつくる能力のこと)に関する悩みもありました。特に女性の場合、分子標的薬を服用中は子どもを授かることが禁忌とされています。男性の場合も、(大丈夫という医師もいますが)本当に安全なのか躊躇してしまう人もいます。現在は治療の状況によって医師の管理下で子どもを授かる方法もあります。しかし、そもそもこうした悩みを語る場がなかったこと自体が悩みだったという声もありました。
薬をいつまで飲むかという悩みも切実です。20代、30代で「残りの人生ずっと」高額な医療費を払い続けることには「途方もない」不安を感じざるを得ません。長期服用による副作用のリスクも当然高まるでしょう。その分、AYA世代の患者さんの場合、STOPTKIにかける期待(希望)は高いように感じられます。

4.いずみの会ができること

いずみの会ではこれまでAYA世代の交流会を(オンラインのみですが)3回開催してきました。各回の参加者は決して多くはありません。しかし、参加していただいた方々には「初めて同世代の患者さんに会えた」、「同世代の人と話せて嬉しかった」、「また開催してほしい」と言っていただいています。先ほど紹介したような悩みも、そうした近い年代の仲間同士の安心感から語られているように感じます。また、小児で発症しAYA世代になった人の交流の場にもなっているようです。
最後に少し私自身の話をすると、私も21歳でCMLを発症したAYA世代のCML患者です。しかし、いつの間にかAYA世代も終わる年齢に差し掛かってしまいました。そういう意味では、AYA世代の交流会を「仲間」(そう思ってもらえるかはともかく)として主催できるラストチャンスでもありました。結果的に、今はこうしたAYA世代同士の交流の場が必要とされていたことをひしひしと感じています。
いずみの会ではこれからもAYA世代の交流会を定期的に開催していこうと考えています。この文章を読んだAYA世代の方がもしいれば、ぜひ下記アドレスまでご連絡ください。一方で、副作用の悩みや生活の悩みなど世代を超えて共通した悩みもあります。AYA世代の方もたまには「いつもの」交流会にも顔を出してみてください。そして、他の世代のみなさまには、どうぞ若い仲間達のことを暖かく見守っていただければと思います。

参考

国立研究開発法人国立がん研究センターがん情報センター AYA世代の方へ(15歳から30歳代)
静岡県立静岡がんセンター AYA世代の診療

いずみの会 河田純一(お問い合わせ info@izumi-cml.jp
いずみの会HP:http://www.izumi-cml.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/cml.izumi

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