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MTGアリーナの初手補正に裏面土地は影響するか


はじめに

普段mtgアリーナにてリミテを遊んでるカジュアルプレイヤーのいずみんです。
普段はDiscordサーバ 「ゆる速」にお邪魔して、がやがやしてます。
ゆる速がモダホラ3のプレビューで盛り上がってるときに、「今回裏面土地メカニズムが再録されるけど、初手補正に影響あるのか」という話が出てきました。
公式を調べても詳細な情報がなかったため、今回調査しました。

初手補正とは

mtgアリーナにおいてプレミアドラフトや構築のラダーで採用されているbo1では、ゲームが成立するように土地とスペルが期待値に近くなるように調整(初手補正)されてます。
細かいメカニズムは以下のサイトの記事に説明があるのでそちらをご参照ください。

裏面土地とは

「モードを持つ両面カード」はゼンディカーの夜明けで登場したメカニズムです。
プレイヤーは表面と裏面を選んで唱えることができます。
この記事では表面がスペル、裏面が土地である両面カードのことを裏面土地と呼びます。

モダンホライゾン3だと裏面が2色土地の場合もあるぞ!

このメカニズムが、モダンホライゾン3で再録されています。

疑問点

この裏面土地カードは土地として扱うこともできるカードです。ではこのカードは初手補正に影響するのでしょうか。
ゼンディカーの夜明けのパッチノートを見る限り、裏面土地を何かしら考慮しているのではないかと言うことまではわかりますが詳細はわかりません。

パッチノートでの説明(参考:https://mtg-jp.com/reading/publicity/0034393/)


そこでどのように土地が配られるのか実機で確認してみました。

検証内容

概要

60枚のデッキを以下の内容で構築し、bot対戦を行います。

ネズミの群棲でスペル枚数を調整します

その際に初手の基本土地と裏面土地の枚数をカウントして配られるカードの枚数の傾向を調べます。(マリガンは考慮しません)

土地が何枚配られるか目視で確認

この操作を300回実行しサンプルを集めます。

取得したサンプルの一部

また傾向を見るために、裏面土地と基本土地のバランスを変更したケースを複数立案して検証します。

土地枚数

筆者が普段遊んでいるリミテッドと同様に40枚デッキで検証をしたかったのですが、bot対戦は60枚デッキしか対応していません。
17枚の土地バランス(42.5%)と近しい値になる土地枚数、つまり26枚(43%)を設定しました。

サンプル数

サンプル数が少ないと外れ値の影響が大きくなるので、各検証ごとに300サンプル取得してます。
また対人戦で検証するのは憚られるため、bot対戦で検証してます。したがってbot対戦においても初手補正が影響している前提となってます。

検証結果

基本土地のみ

まず基本土地のみの状態による初手補正の影響を調べます。
補正がない状態における初手の土地枚数の確率は計算で求めることができます。

初手補正なし

補正がない場合は3枚を最頻値として、まずまずのばらつきが見えます。

次に初手補正ありの場合です。
土地枚数26枚ではデッキバランス(26/60)*7=3.03と3枚がバランスの良いハンド扱いされる想定です。

初手補正ありの結果。3枚が突出している

補正なしの場合、31%で3枚を選ばれますが、補正ありでは3枚が選ばれる確率が60%と非常に高くなってます。これによりbot対戦でも初手補正が影響しているとみなして良いと考えます。
また300回試行して3枚±1のデータしか出現しませんでした。この結果から期待値(3枚)に近くなるように強力に補正が効いていることがわかります。

裏面土地あり

次に裏面土地がある場合の検証です。
先ほど検証した土地26枚をベースとして、以下のバリエーションでデッキを構築して検証しました。
 
①裏面土地小(基本土地 22 裏面土地 4)
②裏面土地中(基本土地 18 裏面土地 8)
③裏面土地大(基本土地 14 裏面土地 12)
④裏面土地のみ(裏面土地26)

初手に配られる基本土地、裏面土地、基本土地と裏面土地の合算値(初手に土地とみなせるカード)を抽出しました。その結果が下の表になります。

検証結果

まず合算値をみると、どの検証においても最頻値が3枚(青セル)で、基本土地構成と似たような傾向を示しています。
また補正がない場合(31%)と比べて1.5倍以上の確率で3枚が選ばれています。
この結果をみると裏面土地も土地として換算されて初手補正されているように見えます。ただし、基本土地のみと比べると裏面土地の占める割合が多い場合、枚数の分散が大きくなる傾向があります。
またパターン④においても初手補正の影響があるように見えますが、こちらも基本土地のみのパターンよりかなり分散が大きくなってます。

検証の評価

検証結果から考えられる、裏面土地をデッキに入れた場合の初手補正の傾向は以下の通りです。
 ①裏面土地は初手補正の際に土地としてカウントされている。
 ②裏面土地を入れるほど初手の土地枚数の分散が大きくなる。
②の土地の分散については実は17Landsの中の人も言及しており、彼らが持つ膨大なデータからも②の傾向は読み取れるとのことです。

ということはこの検証いらなかった…?
上記の傾向よりドラフト中に裏面土地が複数ピックできても、基本土地を極端に減らさないほうが良いと考えます。

裏面土地補正に対する妄想

今回の検証によって裏面土地も含めて補正がかかるような傾向があることが明らかになりました。
しかし、裏面土地を入れたことで初手の土地枚数が分散するという事象が発生しています。

前述したとおりパッチノートには「両方の特性を評価する」と書いており、ここが分散に影響しているのではないかと考えます。

一番シンプルに考えるのは裏面土地が1+αの土地として評価をされている場合です。すべてのカードにおいてαが一定だと以下の疑問が残ります。
・裏面土地26枚デッキが実質26+26α枚の土地と換算されることにより期待値が変わり、3枚が最頻値になる可能性は低い。
・基本土地のみと同様に3枚が高い確率で選ばれると思われるが、実際は45%と低い確率となっている。

したがって「デッキのバランスを見るとき、裏面土地を土地としてカウント」し「初手の土地バランスを見るとき、表面のマナコストなども評価」しているとすれば、パッチノートの言及もあわせてなんとなく説明がつきそうだなと思っています。(妄想です。)
しかし、そこまで踏み込んでもピック指針やデッキ構築に影響はしないと考えるので、これ以上の検証しては止めます。

おわりに

ここまで読んでいただきありがとうございます。
当初データをまとめたものの、17Landsのデータを見つけてたため公開するか悩みました。
しかし、300のサンプルを取るのに5時間のスクショ取得(自動化しましたが)+30分のデータ整理とそれなりに大変だったため、お蔵入りするのももったいないと思い公開しました。
もし本記事内に不適切な内容等があればご連絡ください。

今更ですが、本記事はmtgアリーナを用いた検証結果による考察であり、結果を保証するものでありませんのでご了承ください。
それでは!

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